鈍行列車一人旅

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最北端の地の風景

「極寒北国紀行 3日目 (稚内~ノシャップ岬~宗谷岬)」

[2014/12/12]

午前7時、稚内のホテルで私は起床した。
鬼畜な鈍行旅にも何処かで休息がないと身体を壊す。
昨日に引き続き、外は曇りまたは吹雪だ。特に風が非常に強く海のシケ具合がすごい。
8時に朝食を取ってあったので、さっそくホテル直属のレストランへ向かう。

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シンプルな和定食だが、私はこういうのが一番好きだ。
ダシのきいた味噌汁が美味で、おかわりしていいと言うのでありがたく頂戴する。

「この味噌汁、とても美味しいです」
「ありがとうございます、………観光ですか?」
「はい、これからバスで宗谷岬へ行ってきます」
「そうですか。今日は海シケてますから、気を付けて下さいね~」

稚内の人々は口下手で無愛想ってここのサイト(Wikitravel)に記してあったけど、そんなことは全くない。
寧ろ、限りなく温かかった。開放的な南国よりも閉鎖的な北国の方が、自分の性にあってる気がするな。
西日本に行くと違和感だらけ、というか冷遇な対応をされるパターンがほとんどなのだが、
東北・北海道に行くと円滑にコミュニケーションをとれることが多いのである。


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レストランの予約客は一人の常連さんと私を除いて誰もいない。

「どこからやって来られたんですか?」
札幌から電車乗り継いで来ました。途中吹雪いてて怖かったですけど」
「確かに、天気荒れてきましたね、この調子だと野幌とか士別あたりも吹雪いてますかね」
「あぁ……、はい、えー多分そうですよね」

「吹雪だと電車は止まったりするんですか?」
「いや、電車は滅多に止まりませんよ。遅れることは多いですけど」
「そうですか、よかったぁ~」
「もう今は何処もかしこも無人駅になっちゃって、寂しくなりましたね」

確かに北に行けば行くほど人々は無愛想に見えるのだが、根本的なところに温かみを感じる。
それは、私自身に北国の血が流れてるからかもしれない(←母が札幌育ちで生粋の道民だった)。
北国の人は偽善者ぶった笑顔をしない。というか今さっき「札幌から来た」って言ってしまったせいか、
道民とみなされて話してるみたいで、途中から道色濃厚な話についていけなくなってしまったぞ(笑)。

朝飯にありついた後、10時寸前にチェックアウトしてまずは稚内駅前に向かった。
これからしばし観光ということで、路線バスで稚内の二つの岬を回っていこう。



・宗谷バス 市内線 [駅前ターミナル~ノシャップ]
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駅前から宗谷バスの市内線で、まずはノシャップ岬へ向かう。
宗谷岬と比べ、こちらはバスで駅前から10分と手軽に行ける。市内線は便数も多いから尚更だ。
使われているバス車両は、今東京では当たり前となったノンステップバスである。
最果ての街だから、てっきり昔ながらのツーステップバスと思っていたのでこれは意外。


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乗車時間10分の間に地元住民達が続々と降りていき、私一人の状態でバスは終点のノシャップバス停に到着。
誰もいない雪道を歩き、バス停から5分のところでノシャップ岬に到達する。



・ノシャップ岬
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ノシャップ岬は宗谷岬ほどの最果て感はなく、岬周囲には水族館や科学館などの観光施設がある。
岬には雪が20cmほど降り積もっていて、数人踏み歩いた跡が残っていた。
こんな極寒の中でも、観光にやってくる人はいるらしいな。


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昨日に続き今日も風が強く、荒れた海の向こうから横殴りの雪と寒風が押し寄せる。
カメラを出して写真を撮るのも一苦労で、長時間海側に向かって対面ができない
一分ほどでポケットから出した手がカッチカチになってしまう。


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ノシャップ岬は夕日が有名だが、白銀に染まった今の風景も良い感じ。
イルカのモニュメントは海側が雪化粧状態。風と雪は海の方からやってくるからだ。
今は雲の隙間から日が出て、さながら「天気吹雪」といった感じである(そんな言い方ないか笑)。

約20分滞在した後、折り返しのバスで再び稚内駅前に戻った。
次行くのは、日本最北端の地である宗谷岬。正真正銘、日本列島の北の先っぽである。



・宗谷バス 天北宗谷岬線 [駅前ターミナル~宗谷岬]
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11時25分、稚内駅前の一番乗り場から天北宗谷岬線のバスが定刻通り発車した。
「天」と書いて「北」。これほど最果てを感じさせる路線名もないだろう。

この長距離バス路線は1989年に廃止された天北線の代替として開業し、路線名も当初は鉄道と同じく「天北線」であった。
運行経路は天北線の廃線跡に順じており、稚内から鬼志別、浜頓別を経由して音威子府までを結んでいる。
天北線は元々稚内から内陸部を通っていたので、バスも同じくその鉄道廃線のルートを辿っていたが、
過疎化した内陸部は集客が見込めないため、2011年から宗谷岬を経由する海沿いルートに変更された
こうして新たに改名・運行開始された「天北宗谷岬線」は、稚内から終点の音威子府まで片道4時間の道のりを誇る。





稚内発の天北宗谷岬線は1日7本のみであり、宗谷岬へは稚内駅前から50分かかる。
宗谷岬までだと片道1390円かかり、また駅構内の案内所で往復券も購入可能である。
せっかくの最北端であるから、お得な往復券は使わずに大人しく普通運賃を支払おうではないか。


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稚内の市街地を出ると、宗谷バスは左手に海、右手に原野を見ながら国道をひた走っていく。
海はシケにシケており、道南の穏やかな太平洋とは裏腹に険しい表情を見せている。
バス車内は、地元住民の方一人と私を含めた旅行客が二人だけだ。



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稚内駅から50分経ち、宗谷バスは宗谷岬バス停に到着。
バスはここが終点ではないので、乗客を降ろすとすぐに走り去っていった。
風が凄まじく、辺りは人っ子一人いない。


バス停の真ん前に、日本最北端の地はあった!




・宗谷岬
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ビュオオオオオオオオオーーー!!!!

「何なんだ、この風の荒れっぷりは!?マジで尋常じゃない!!」

画像だけだと分かりにくいが、思わず言葉で表現したくなるほどの荒風に苦闘する。
シケる海の向こうから春一番なみの風がブワッと吹いてきて、私の行く手を阻む。
岬周辺には飲食店があるが、ほぼ全て閉まっている。



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宗谷岬は岬そのものが尖っているわけではなく、なだらかな海岸線上に石碑が建てられている
しかしここが正に日本最北端の地であり、遠くからわざわざやって来る人々が後を絶たないという。
東京から鈍行で二日かけて来た私も、この最北端の石碑に魅せられた一人であるというわけだ。

気温は氷点下5度とそこまで大したことない。
しかし現在は暴風が吹き荒れており、体感温度は氷点下10度くらいに達していると思われる。
というか、風がヤバすぎて海の方に顔を向けられない!(三分くらいが限度)
フードを被ってないと顔が腫れてカッチカチになりそうだ。



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最北端グッジョブ!!

何より、これがやりたかったんだぜ。
手が寒風を浴びまくって真っ赤になってるところに必至さが滲み出ている(笑)。



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石碑の横でシケた海を仁王立ちで見つめる間宮林蔵氏
江戸時代に、樺太が「島」であることを一人で調べ抜いた大冒険家である。
彼が見抜いた地は日本の最北端ではなく、さらにこの海の向こうにある樺太の地なのだから恐れ入る。



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荒れはてる海。吹きすさぶ風。降りしきる雪。

雪に埋まった道を登り、丘の上から最北端を見下ろす。荒風に吹かれながら最北端の全景をカメラに収める。
雪はぶっちゃけそうでもないが、これぞ最果て!らしい風景が眼前に展開している。
今にも凍えそうなのに、私はその光景にしばらく眼を奪われた。

この岬は海の境界線にもなっていて、岬から西は日本海、東はオホーツク海になる。
天気が良ければ海の向こうに樺太の地が見えるらしい。



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到着から30分後、折り返しのバスで稚内駅へ戻る。
短いようにも感じるが、こんな極寒の地で外に居られるのはどのみち30分ぐらいが限度だろう。

数時間滞在だと、多分死ぬんじゃないかな。


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昨日と同様に天気の変化が激しく、日が出たり出なかったりを繰り返している。
夏は涼しくて気持ちいいのかもしれないが、冬の極寒の最果ては想像以上に厳しいところであった。
逆に言えばその過酷さと厳しさを味わいたくもあったから、今の天候の荒れ様は理想的だったかもしれない。

車内でスマホの気象情報を見てみると、稚内で暴風雪警報が出ていた。どうりで風が荒れまくってたわけだ。
これぞ最果て!といった光景に心を奪われたが、あまり馬鹿なことをしてはいけない。
でも、馬鹿なことをしないと記事のネタにならない



・稚内駅
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乗客僅か二人を乗せて、天北宗谷岬線は稚内駅前に到着。最北端の街、稚内もこれでお別れだ。
これから14時12分発の宗谷本線の鈍行に乗って、まずは旭川まで向かう必要がある。
鈍行が発車するまで少し時間があるので、駅構内を探索してみよう。


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稚内駅構内には、あのセイコーマートがあるようだ。
北海道のコンビニといえば、まず先ず浮かぶのがセイコーマートなのだ。
その歴史は古く、店舗開店はセブン○レブンよりも早い(1号店開店は1971年)。


Ribbon ナポリン(450ml)24本セット 北海道限定 ポッカサッポロキリン 北海道ガラナ 500ml×24本

そして、北海道限定の炭酸ジュースといえばリボンナポリンである(ガラナもありまっせ!)。
毎年夏、母と札幌に帰省したときに欠かさず飲んだ思い出深いジュースの一つだ。
見た目は毒々しいオレンジ色だが、炭酸がきいてて美味いので北海道に来たら是非飲んでみてほしい。
今は寒いから飲みたくないけどね………。

おにぎりを買おうとレジに持ってくと毎回「温めますか?」と言われるのは北海道独自の風習だろうか。
北海道に入ってからコンビニでおにぎりを既に4回購入しているのだが、
4回とも「温めますか?」と言われたから驚きだ。



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稚内駅構内は充実しており、飲食店やお土産屋もあるから便利だ。
二階には暖房の入った憩いのスペース(?)もある。
お土産屋に駅弁が売っているので、ここで昼食休憩といこうか。


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いくつかある中で私が選んだのは「最北駅弁(帆立)」。値段は880円也。
何てったって、最北駅弁って名前がそそられるじゃないか。肉厚な帆立が5つ入っている。
しっかりとした歯ごたえがあり、醤油で味付けされたご飯と相俟ってあっという間に完食してしまった。

14時を過ぎた頃、駅員からアナウンスが入り旭川行き鈍行の改札が始まる。
これから実に6時間強にも渡る、長い長い宗谷の全線鈍行旅を制覇しなければならない。
そして旭川からは「赤電」こと国鉄711系に乗って、自身の生まれ故郷であり北海道一の大都会でもある札幌を目指そう!


最北端の街に別れを告げ、私は一番乗りで改札を通り旭川行きの鈍行に乗り込んだ。

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2014/12/27 | 極寒北国紀行


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