鈍行列車一人旅

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「はまなす」と厚別ダッシュ

「極寒北国紀行 1~2日目 (青森~新札幌~厚別~旭川)」

[2014/12/10]

最北端鈍行旅も一つの山を越えた。
といっても、これから天気が悪くなるから旅の峠はまだ先だ。
東北本線を全線通しで北上し、青森からは夜行列車はまなすに乗って北海道へ上陸する。


・急行はまなす [青森~札幌]
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日本で唯一の夜行急行となった「はまなす」の歴史は、今から四半世紀前(1988年)まで遡る。
それまで青森と函館を結んでいた青函連絡船の代替として、青函トンネル開通日とともに運行を開始した。
この区間は青函トンネル以外に移動手段がないため一定の需要があるようで、
多くの夜行が臨時に格下げされていく中、今も定期夜行列車として毎日走り続けている。

しかし、定期夜行はまなすの歴史も間もなく終わりを迎えようとしている。
2016年に開業する北海道新幹線の影響で、青函トンネルの電圧が新幹線専用のものへ変更されるため、
これまで客車を牽引してきた電気機関車が走れなくなってしまうのである。JRからの正式な発表はまだないが、
カシオペアや北斗星とともに、はまなすも消滅してしまうだろうというのが現時点の予測である。

今現役で走っているブルートレインは北斗星とはまなすのみだから、
両列車の廃止はブルートレインの全廃を意味する。
長い歴史を持つブルートレインを往路復路使って旅するのは今回が最後となろう!

………こうして若干興奮気味になりながら(苦笑)、私ははまなすの客車に乗り込んだ。



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22時18分、急行はまなすは定刻通り青森を発車した。今回とった座席は「のびのびカーペット」だ。
この雑魚寝スタイルの車両は人気があり、他の車両はガラガラなのにカーペット車だけ満席状態。
そりゃそうだ。他の座席と指定席券代が同額なのに、こちらは寝床に布団付きで横になれるのである。

「のびのびカーペット」の指定席券は、みどりの窓口で発券してもらうのに少し手間がかかった。
この座席は窓口の端末(マルス)上では「はまなすカーペット」という名前で登録されているので、
発券してもらう際には列車名を「はまなすカーペット」と指定する必要があるから厄介なのだ。




「これから室内灯を深夜灯に切り替えさせて頂きます。どうぞごゆっくりお休み下さいませ。
次の停車駅は函館。0時44分の到着です」


23時過ぎ、甲高い汽笛とともに列車は青函トンネルに突入する。
津軽海峡線は青函トンネルに至るまでトンネルがいくつかあるが、
いざ青函トンネルに入るときには盛大に汽笛を鳴らす。
海面下240mの海底をくぐり抜ければ、北海道の地はもうすぐだ。



[2014/12/11]

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うつらうつらしているうちに、列車は函館に到着した。
ここでは機関車の付け替え作業もあり39分も停車するようだ。
寒いホームに降り立ち列車先頭部へ行くと、はまなす専用DD51の姿があった。
この機関車は函館から終点札幌までを牽引する。

1時23分、はまなすは汽笛を鳴らして函館を出発する。
さすがにもう寝ないと2日目がもたないので、シーツをかぶって眠りにつく。
………と、そう上手く眠りにつけるわけでもなかった。
客車の振動・挙動は電車のそれよりも強く、ブレーキ時はガクッと大きく揺れる。
必要以上に繊細な自分には、この揺れが結構響いた。



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「皆様おはようございます。時刻は只今、午前5時9分を回りました。列車は定刻通り運転しております。
次の停車駅南千歳には、あと15分ほどで到着致します」


苫小牧を出たところで、室内灯が点灯するとともにアナウンスが入った。
列車は千歳辺りを快走している。終点札幌まではまだ少し時間があるようだ。
ここでどうしようか、私は一つの選択を迫られた。

その選択とは「ワープをするかしないか」ただそれだけのことである。
何が何だかわからない方もいらっしゃると思うので、ここで詳細な概要を説明しよう。





今乗っている急行はまなすの終着駅は札幌である。
札幌から道北へ行くには、まず函館本線に乗って旭川へ向かう必要があった
しかしこの区間の鈍行は本数が非常に少なく、効率の良い接続もないため乗り継ぎで大きなネックとなっている。

そこで札幌を6時に発つ始発の旭川行き鈍行に乗れば、いち早く道北へ行くことができるのだが、
はまなすが札幌に着くのは6時7分。つまり、札幌からだとこの始発鈍行に間に合わないのである。
6時の後に来る旭川行き列車は3時間後であり、特急のワープが必須となってしまう。
しかし今からちょっとした「裏技」をやれば、この始発鈍行にギリギリで乗り継ぐことが可能となる。

はまなす終着の一つ手前の停車駅、新札幌。ここから近いところに函館本線の厚別駅がある。
この二つの駅は千歳線と函館本線の合流地点近くに位置し、互いに距離が近いため、
乗換駅ではないが徒歩10分で容易に行くことができるのだ。




札幌からでは絶対に間に合わないが、ここからならギリギリ始発の旭川行きに間に合うことは、
時刻表で両列車の到着~発車時刻を照らし合わせればすぐにわかる。

・はまなすが新札幌に到着するのは5時55分。
・旭川行きの始発鈍行が厚別を発車するのは6時13分。


つまり、この二つの駅・列車の到着~発車の間には18分のブランクがあることになる。
この僅かなブランクを利用し、新札幌から厚別まで徒歩で移動し旭川行き始発鈍行に乗ることを「厚別ダッシュ」という。
要は新札幌ではまなすを降り、18分以内に徒歩10分の道をこなして厚別まで行けばいいわけだ。
結構際どいタイミングだが、両列車が定刻通りなら問題なく間に合うだろう。



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ほどなく列車は新札幌に到着。結局、私はリスキーな厚別ダッシュをすることにした。
誰も降りる気配がない中、リュックを担いで一人颯爽とはまなすを降りる。

はまなるに乗るのは今回が最後になりそうなので、よりリスキーになるが駅ホームで発車を見送ろう。



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「ありがとうはまなす!今までお疲れ様でした!」

あっさりした別れだが、ホーム上でこうして一人悠々とできるのも格別だ。
はまなすは恐らく来年度に廃止されてしまうが、そのときには人混みに溢れてんやわんや状態になってるだろう。

さて、新札幌から厚別まで少し鬼畜の移動をしなければならない。
鬼畜というほどでもないが間に合わなかったときの痛手は大きい。
スマホでGoogleマップを見ながら、まずは北口を出た!



・新札幌~厚別 (徒歩)
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外はまだ真っ暗。道路は一面雪に覆われていて、手元のマップ以外は何も頼りがない。
駅構内を出るのに戸惑ってしまい、旭川行き始発鈍行が発車するまで残り13分となった。

もはや、歩いていては間に合わない。文字通り厚別向かってダッシュだ!


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ここにきて、東京からわざわざ履いてきたスポ○ディングのスノーブーツが大活躍する。
このブーツは防寒・防水機能の他、靴底が雪で滑らないようになっているのだ。
その機能性たるや絶大で思いっきり走っても全く滑らない。

スニーカーで来ていたら間違いなくアウトだったろうな。


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結局道を迷わず進むことができ、6時10分に厚別駅に到達した。
これで無事、旭川行き始発鈍行に間に合う!



・函館本線 [厚別~旭川]
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ホーム上で待つこと数分、お目当ての列車は定刻通りやってきた。
この区間は電化されているが、やってきた列車は何故か二両編成の気動車だ。
恐らく、回送ついでの送り込み運用だろう。

厚別を出てしばらくしたところで、周りが少しずつ明るくなってきた。
辺りは一面雪景色で、ただっ広い北海道の大地が姿を現す。
始発列車だが車内は満席状態。この区間はまだ鈍行の本数が多いが、問題は滝川から先の区間である。
滝川~旭川間は一日数本しか鈍行が走ってないのだ。


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朝7時前、旭川行き鈍行は室蘭本線と接続する岩見沢に到着。
外はすっかり明るくなり、見渡す限りの平野を照らす。
天気は曇りで吹雪になる予報も出ている。

岩見沢から先を進むごとに満席だった車内が少しずつ空いてきた。
やっぱり、生粋の道民はスノーブーツなんてものは履かないらしい。
車内を見渡す限り、私みたいな旅行者を覗くと革靴とスニーカーばかりだ。


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列車は何のトラブルなく順当に道のりを進む。
奈井江という変わった名前の駅で学生が大勢乗ってきた。
目の前には雪原が広がっているのに学生達はドラクエの話とかしているw
彼らにとって、車窓に広がる大自然は生活の一部に過ぎないのだ。

究極の汎用気動車キハ40系の走りは、実にのんびりとしている。
この車両は車体が重い割にエンジンが貧弱で加速が圧倒的にのろい。
ただ車体は丈夫につくられていて、耐雪・防寒構造もしっかりしてるから安心感がある。
そこは古き良き国鉄車の魅力であり、国鉄が車両の生産に一切の手抜きをしなかったことを証明している。


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根室本線と接続する滝川で一気に乗客が減った。
ここから旭川までは車掌のいないワンマン列車となり、閑散地帯を進んでいく。

昨日の夜から何も食べてないため腹が減ってきたが、手元にはメントス一粒しかない。
とりあえず旭川まではメントス一粒で我慢しよう。


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車窓は見渡す限り平野であり、人家は少ない。雪はさっきと比べて深くなってきている。
山も近くなってきた。長いトンネルを何本も抜け、石狩川を渡るとそこは旭川の地だ。



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8時57分、札幌発の始発鈍行は終点旭川に到着した。
ここからやっと、日本最北端路線の宗谷本線に乗車する。

次乗る宗谷本線が出発するのは2時間後なので、とりあえず駅前の繁華街で朝飯にありつくことに。


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旭川は駅を出てすぐのところに繁華街があるので、飲み食いには全く困らない。
外は全然人がいないが、店の中に入ると沢山人がいる。

朝飯にありついた後、キリのいいところで駅へ戻り宗谷本線の乗り場へ向かう。
宗谷本線は前々から恐れていた長大ローカル線だが、今回やっと鈍行で乗車する機会を得た。
これから吹雪くみたいだが、恐れず行こう。片道6時間の道のりを制覇し、次回遂に最北端稚内へ到達する!

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2014/12/22 | 極寒北国紀行


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