鈍行列車一人旅

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函館本線の旅

「極寒北国紀行 4日目 (札幌~小樽~長万部~森)」

[2014/12/13]

早朝5時、すすきののカプセルの中で私は起床した。
誰も起きる気配がない中、一人カプセルを出てチェックアウト。
市営地下鉄はまだ動いてないので、路上をひた歩いてJR札幌駅へ向かう。


・すすきの~札幌 (徒歩)
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すすきのから札幌駅までそんなに距離がないことは、札幌生まれの自分が知り尽くしている。
狸小路大通公園を通り、テレビ塔を見上げると懐かしい気分になった。
ここで立ち止まるわけには行かない。鬼畜な鈍行旅は前進あるのみだ。
しかし懐かしさに誘われて、私は誰もいない大通公園の前で一人立ち止まった。

………ここは、昔と何も変わっちゃいない。

噴水広場もテレビ塔も相変わらず健在だ。夏はとうきびを売る屋台もあったっけな。
すすきののカプセル宿から徒歩20分で札幌駅に到着。
ホームで6時13分発の始発列車を待つ。



・函館本線 [札幌~小樽]
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札幌から出る小樽方面の一番列車は、何故か二両編成の気動車であった。
恐らくこれも、2日目に乗った旭川行きと同じく送り込み運用なんだろう。

この気動車は小樽から先の非電化区間を走るためのやつだから、
札幌の車庫から仕事場に向かうついでに客も乗せてしまおうという体裁で運行されているに違いない。
客を乗せてくれるのはいいが、混雑区間だけに2両編成だとかなり無理がある気がする。
実際、車内も立ち客が沢山出ている。はまなすから乗り継いできた乗客も、その混み具合に落胆している。




今日の旅程は濃厚すぎて記事の分量も相当なものになるだろう。一言では言い切れない。
それでも息切れしそうに一言でいうと以下の感じになる。

札幌から始発列車に乗り、小樽から長万部行きの鈍行を乗り通し長万部で特急に乗って森までワープし、
森から再び鈍行で大沼まで行き、大沼付近でSLを撮影し大沼公園から復路のSLで函館へ向かったら、
市電で函館市街を観光した後に寝台特急北斗星に乗って帰路へ。


………もう自分でも何言ってるのかわからないw。よくこんなむちゃくちゃな旅程立てたもんだ。
色々考えてるうちに然別行きの始発鈍行が定刻通り札幌を出発。外はまだ真っ暗だ。
電化区間なのに、わざわざ油を燃やして走る気動車は勇猛果敢に見える。



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札幌からしばらくは市街を進んで行くが、途中から海沿いすれすれを走るから車窓は見ものだ。
海沿いの景色は札幌からだと進行方向右手に広がる。

始発列車の雰囲気は何時も独特だ。朝帰りの人やサラリーマン、学生など、多種多様な人でごった返している。
駅を進むごとに、何処からか「おはよー」とか「おつかれさまでした!」とか声が聞こえてくる。
銭函あたりでようやく明るくなってきた。銭函から小樽築港までは日本海のすれすれを走っていく。
天気はどんより曇っており、晴れていれば日の出が見れたかもしれない。



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小樽築港を過ぎ市街に入ると、列車は間もなく小樽に到着する。
次の列車まで一時間近く滞在時間があるので、駅から徒歩10分で行ける小樽運河を散策してみよう。



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小樽は札幌から近いところだから、夏の帰省時によく遊びに来てた場所だ。
小樽運河も4~5回来たことになるのか。ただ、冬の運河を見るのは今回が初めてだった。



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現在の小樽駅は昭和初期(1934)に建てられたもので、上野駅がモチーフになっている。
80年以上前の建築構造物で、駅構内は昭和の臭いがプンプンしているのがいい。
小樽は駅前から徒歩で行ける観光資源が豊富なので、是非途中下車して観光したいところだ。

さて、小樽からは長万部行きの長距離鈍行に乗って先を進もう。
昨日の宗谷本線ほど長くないが、座れないと後がきついのでホームでじっと列車を待った。



・函館本線 [小樽~長万部]
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長万部行き鈍行は意外にも大混雑。列車が入ってきた時点でこの行列である。
単行気動車だが、発車寸前に満杯状態となった。ここから閑散区間のはずだが、私の読みはハズレたか。
意外な場所で未曾有の混雑に遭遇するのが地方ローカルの恐ろしいところだ。

ホームでずっと待機していたから、座席は無事確保。
車窓はどちらも大差ないようだが、どちらかというと羊蹄山が見える左側が良いらしい。




「山線」と呼ばれるこの区間(小樽~長万部)は優等列車が一切なく、走っているのは鈍行のみである。
現在、全線通しで行く鈍行は1日5本のみ。小樽から終点長万部まで3時間強の道のりだ。
今は海沿いの室蘭本線・千歳線(海線)が主要ルートだが、函館本線のオリジナルはこちらの山線区間。
山々の隙間を縫うように線路が敷かれており、道中で峠を何度も越えていくことになる。

車内が今すし詰め状態なのは、観光客が乗るはずの特急が一本も走ってないからだろう。
というか混雑具合が半端ない!東京の朝ラッシュみたいだ(苦笑)





山線は、かつてC62が峠を越えた伝説の場所だ。C62は国内最大&最強の蒸気機関車である。
C62はSL末期まで活躍していたから映像は結構残っている。特にこの昔のドキュメント映像は面白いので是非見て欲しい。
C62が重連(二両連結)となり、急行「ニセコ」として山線を力走する!ああー俺も乗りたいよコレ。
だって今乗ってるの、単行のワンマン気動車だぜ!?

オタモイ峠 [小樽~塩谷] ~ 稲穂峠 [然別~小沢] ~ 倶知安峠 [小沢~倶知安] ~ 目名峠 [蘭越~熱郛]

山線の難所とされる峠は上記4つがあり、この4つの峠の他にも蕨岱付近で小さな峠がある。
往時の名残など全くない軽快気動車は、小樽を出るとさっそく上り勾配(オタモイ峠)に入った。
鬱蒼とした山の中を進む様は、小樽以北の区間では全く見られない景色だ。
車外は人気がないのに車内は人でいっぱい。単行とはいえ偉大な鉄路は健在か。



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エンジン全開で峠を越え、人気のない山中を進むと蘭島に到着する。
ここにきて雪が一気に降りしけてきて、車窓は白銀の世界へ。
外は極寒の地だが車内はとても暖かい。
身の安全が保たれた環境で悠々と景色を見られるのは、公共交通の特権だと思う。

余市で地元客が大きく入れ替わったが、意外な混雑ぶりは相変わらず。
余市からは日本海沿いを離れ、山岳だらけの内陸部へ突入する。



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然別から山腹を延々と進むと、間もなく稲穂峠へ。高度がグングン上がる。
左手に展望の良い車窓が広がり、手前に余市川が流れ遠くには山々が聳える。
高度を稼ぐと銀山付近で峠を越え、長いトンネルをくぐり抜け坂を下っていく。
すると山に囲まれた盆地へ降り立ち、峠間の休息地となる小沢に到着した。

小沢を出ると再び上り坂に入り、最大20パーミルの勾配が続く倶知安峠に差し掛かる。
急勾配を延々と上り短いトンネルをくぐると、そこは有数観光地ニセコの地だ。
ニセコは豪雪地帯であり、トンネルを抜けた途端雪がドッサリと降ってきた。



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男爵芋生産量No.1の町倶知安で長時間停車。ここで乗客がドッと入れ替わるようだ。
車内は観光客が多く、スキー用具を抱えた外国人を多く見かける。
倶知安はスキーが有名なのかもしれない。パウダースノーだから雪質が良いのだろうか。

長時間停車の間、雪と戯れながら倶知安駅を撮影。
くっちゃんって地名が可愛いくて良いね(笑)





数分停車の後、倶知安を発車。倶知安からニセコまでの車窓は圧巻の一言だ。
右手にニセコ連峰、左手に羊蹄山が聳え、列車は二つの山の麓を通っていくことになる。


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今回座ってる座席は左側なので、車窓は尻別川が手前に流れ、遠くに羊蹄山が見えた
………はずなのだが、空は分厚い雲に覆われ逆光状態なのでよく見えない。
ここが山線一番のハイライトなだけに、残念だ。
ニセコで再び観光客が乗り込んできた。ニセコからも尻別川と何度も交差して進んで行く。

「The next station is こんぶ

山線区間は観光客が多いからか英語のアナウンスも流れているが、「こんぶ」の発音に思わずニヤッとしまう。
「こんぶ」という駅名が土着的過ぎて、流暢な英語とのギャップにハマった。



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蘭越で対抗列車待ちのため、10分停車する。
天気は刻々と変わり、こんぶを過ぎると再び雪がブワッと降ってきた。
列車もすっかり雪化粧状態。運転士もよくこんな状態で運転ができるなと思う。



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蘭越からは最後の難所となる目名峠が待ち構える。
函館本線の歴史は深く、開業当時は隧道施工技術が発展途上だったのでトンネルの数は少ない。
トンネルは何本も掘れないから、山の腹をカーブで何度も迂回して線路を敷いたわけだ。

目名峠を越え、さらに蕨岱の小さな峠を越えれば、あとは終点長万部に向かって平地を走るのみ。
ニセコの豪雪地帯を抜け、雪一色だった空が一気に晴れてきた。
圧巻の山線区間もこれでおしまいだ。



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11時16分、山線の鈍行は終点長万部に到着した。久しぶりに晴れ渡る空の下、ホームに降り立ち深呼吸。
ここでは約一時間の滞在時間がある………はずだったのだが、ここでトラブル発生!
苗穂でポイント故障が発生し、これから乗る特急に大幅な遅れが出ていた。
その全体遅延は約50分に及んでいる。恐らく、昨日ドッサリ降った雪が引き起こしたのだろう。

この先万事休すと思われたが、特急の本数が多いのが助かった。
本来乗るやつより一つ前の特急が30分ほどで来るということなので、これに乗ることにしよう。
長万部駅前は特に何もないので、言っちゃ悪いが私にとって特急の遅れは逆に都合がよかったかも。



・特急スーパー北斗6号 [長万部~森]
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特急スーパー北斗6号は、定刻から50分遅れて長万部を出た。50分だから既にかなりの遅れだ。
車両はキハ183系。今まで鈍行ばかり乗ってたから速度がエラく速く感じる。
長万部から森までだと、普通運賃と特急料金を足して2400円だ。
しかし、ここでワープしないと大沼公園からのSLに間に合わなくなるからやむを得ない。



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左手に太平洋を見ながらエンジンふかして突っ走り、森到着は12時36分。
長万部での滞在時間が磨り減った分、ここでたっぷりと休憩できる。
さっきまでは晴れて日が出ていたのに、また雪がザッと降ってきた。
天気の変化が早すぎて早回し映像でも見てる気分である。


PC130853.jpgPC130855 (2)

森といえば、あの有名駅弁「いかめし」がある。値段は現在650円だ。
駅弁大会の常連に毎回入る超有名駅弁の一つで、森駅前に製造業者の商店がある。
これは是非食べてみたかった。立ち売りはやってないので駅の売店で購入。

肉厚なスルメイカの中に、味付けされたご飯がぎっしり詰め込まれている。
そのまま食べても美味しいがレンジで温めるとより美味しくなりそうだ。
文句なしのクオリティに満足!さすが、物産売り上げ一位をとる商品だけあるな。


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森からは13時30分発の本線経由鈍行に乗って大沼へ向かうことになる。
大沼に着いたら、今度は歩いてSLの撮影ポイントへ行かなければならない。
外は吹雪き始めたが、これまでの運行状況から考えて列車は問題なく出発するだろう。
北海道の鉄道は雪に強いことで有名だ。屈強に走り続ける列車を信じて再び先を進もう!

鈍行と臨時SLをギリギリの行程で組み合わせた強行計画は、無事成功となるか!?
駅構内でいかめしを食べながら、私は一時間後に出る本線経由の鈍行を待った。

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