鈍行列車一人旅

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留萌本線の末端へ

「日本海北上紀行 3日目 (深川~増毛~増毛ターミナル)」

[2016/1/7]

「やっとここまで来たか……!」雪の中の深川駅で、私は留萌本線の鈍行を待っていた。
高崎から乗ってきた列車とバスの数は20本を越えている。どう考えても正気の沙汰じゃない。

スーパーカムイを降りた時点で留萌本線の単行気動車はホームに入線していたが、
しばらくすると線路の向こうからもう一両やってきて、すぐに連結される。
二両編成になったが、後側の気動車は回送扱いで乗れないようだ。

しばらくするとドアが開いたので、乗り込む。車内はテツと観光客が五分五分といった感じだ。


・留萌本線 [深川~増毛]
R0014509 (2)

深川~増毛を結ぶ留萌本線は、かつて函館本線と一体になって機能していた重要幹線であった。
大昔この路線の建設の目的としてあったのが、留萌港の海産物や資材の輸送だ。
札幌から留萌まで真っ直ぐ線路を延ばしたかったが、沿岸部の地形が並外れて険しかったため、
函館本線を通じて深川から留萌へ向かう経路を開拓し1921年に全通している。

全線非電化であり、"本線"なのに全長は66.8 kmと短い。昔は札幌からの直通急行も走ってたらしいが、
現在留萌本線の列車は線内往復の鈍行のみで、本数も極端に少ない。
羽幌線廃止以降、留萌本線は"支線を持たない本線"として生き長らえてきたが、
利用客の減少に歯止めがかからず、昨年夏になって末端区間の廃止がJRから公表された。
今年2016年度までに留萌~増毛間が廃止される予定となっており、地元も容認済みだという。

留萌本線の全線乗車は今回が最初で最後になりそうだ。車内は満席でテツと観光客で占められている。
地元客は多分いないだろう。定刻が来ると、11時08分発の増毛行きは深川を出た。


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列車は発車すると函館本線から独り立ちして、ただっ広い雪原の中を走っていく。
留萌本線の車窓は、見所をザッと分けて主に3区間あるといえる。
深川からの平野区間、石狩沼田からの山間区間、留萌から先の海沿い区間
距離は短いが、短い道のりの中に(ささやかな)ドラマを有している。

この区間は割と人家が多い。始発時点で空が一瞬だけ晴れていたが、
すぐに雪が降り始め白一色となってしまった。




平野を抜けて札沼線が接続していた石狩沼田を過ぎると、左手から山が迫り人家の少ない山間部へ入る。
恵比島からは完全に山の中だ。留萌本線唯一の峠越えである。
上り勾配を上りちょっとした峠に差し掛かると、短い隧道を潜った。峠を越えた後は鬱蒼とした山の中を下っていく。
山の腹を縫うように走って高度を下げると峠下へ到着する。


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峠下から留萌本線は国道と合流した。留萌川と交差しながら、山間の僅かな平地を延々と行く。
左手に増毛山地、右手に天塩山地が聳える。良い感じに素朴な車窓だ。

留萌から先は右手に海が現れるが、ここまでの区間なら"左手の方が全然車窓が良い"気がした。
特に恵比島~峠下の峠越え区間は、右手は何も見えない傍ら、左手の車窓は見応え満載である。
海は初日から存分に見てたし、海側を確保するテツを尻目に逆側の席を取ってよかった!





留萌市街へ入ると、列車は留萌へ到着する。
ここで10分停車するらしく、外に出ると列車の切り離しをやっていた。
誰も乗ってない回送車が切り離される。留萌から先は単行列車となるようだ。


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数の子生産量日本一を誇る街、留萌。ここは羽幌線や留萌鉄道が分岐する拠点であった。
留萌と書いて「るもい」と読む。「りゅうもえ」じゃないよ、るもいだよ。
他にも留萌本線は、北一已(きたいちやん)、幌糠(ほろぬか)、阿分(あふん)、信砂(のぶしゃ)など、
脳よりも腰にジワジワくる駅名が満載だ。てか「あふん」って完全に喘ぎ(ry

乗客の変動がないまま、増毛行きは留萌を発車。
港を抜けて市街の外側をグルッと曲がる。すると、右手に日本海が見え始めた。


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そこまで海のそばを走るわけじゃないようで、人家をチラつかせながら素朴な海が見える。
今後二度と乗れない区間なだけに、車内は独特の雰囲気が漂い始めた。

皆、黙って流れる海を見ている。カメラ片手に車窓を記録するテツもいる。


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あと少しで末端到達だが、私は心の中で満足していた。
もっと記録しとかなきゃと思う一方で、到達の満足心が大いに働いたらしい。
ちょっとだけ車窓を撮った後は座席にもたれかかり、あとはただ、列車の揺れに身を任せるのみ。



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「俺はもうコレで満足だ……!」記録よりも記憶に残る写真だけ残せば、それでいいと思った。
ひなびた沿岸をひた走り、箸別を過ぎると、終点到着のアナウンスが流れる。

「本日もJR北海道をご利用いただきましてありがとうございました。間もなく終点増毛です。」


総距離1300kmの道のりは、呆気ないワンマン自動放送によってピリオドが打たれた。



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増毛……到達!!

時刻は12時44分。深川から一時間半かけて、列車は終点増毛に到着した。
高崎から三日かけての到達となったが、寸分狂わず予定通りに来れたことに感謝した。
遅延や運休等の致命的リスクに出くわさなかったし、時間通りに動く鉄道の偉大さを実感する。

寒さに震えながら列車を降りる。本線の終着と言うにはあまりにも侘しい駅だ。でもその侘しさがいい。
折り返しの列車が出るのが早いのか、テツの"記録活動"が忙しなく行われている。
到達の余韻は、乗り場にポツンと佇む気動車を眺めるだけで存分に感じられた。



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こじんまりとしてるが、終着らしい佇まいを感じる駅だ。乗り場の先で線路がプツンと途切れている。
増毛と書いて「ましけ」と読む。「ぞうもう」じゃないよ、ましけだよ。
駅名が駅名なので、薄毛を絶望する人にとって聖地とされてるそうな。

現在増毛にやってくる列車は、1日7本(休日は1日6本)のみ。
1日1本になってしまう札沼線の末端よりはマシだが、生活に根ざさない本数であることは確かだ。




増毛の駅構内は広く、昔の名残を僅かに残している。
向かい側の空き地には貨物用の線路があったという。駅舎はオールドスタイルの木造建築だ。
ブラブラしてるうちに、往路で来た乗客が列車に乗り込んでいた。
何の前触れも無く折り返しの深川行きが発っていく。





「ガラガラガラガラ……」

私一人だけ残して、単行気動車が雪景色の中へ消えていった。
誰もいなくなった終着駅。自分の他に誰か残りそうな予感もしてたのに……
走り去る気動車を見て「もう二度と列車が来ないんじゃないか??」って思うほど、
ここは侘しいところだ。10分前の賑わいが嘘のようである。


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増毛に一人残って何すんのさ??って話なんだけど、事前に何するかは計画済だ。
増毛からさらに先、沿岸バスという路線バスが走っているのだが、
そのバスに乗って「大別苅」という、海岸道路の行き止まりだった集落へ行ってみることにした。
出来る限り(公共交通で)行けるとこまで行ってみるのが、当ブログ安定のクオリティである。

末端馬鹿一代やな!雪と風に怯えながら、私は増毛駅を出た。



・増毛駅~増毛ターミナル(徒歩)


駅前を出てすぐのところに「風待食堂」と書かれた観光案内所を発見する。某映画の舞台らしい。
この先から続く道道を辿って国道へ出れば、沿岸バスのターミナルがあるはずだ。
バスは増毛駅にも停まるが、増毛の街並みを見てみたい欲求が勝ったので、
ちょっとばかし町を横断し街外れのバスターミナルへ向かう。

寒風が吹き荒れていて、寒くなってきたのでホカロン代わりに缶コーヒーを買った。
増毛も留萌とともに漁業で栄えた街だ。重厚な建物が立ち並んでいて、
どれも昭和以前、明治や大正に建てられたと思われるものばかり。


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道道から国道231号に入り、さらに西へ進んでいくと街の外れに出る。
するとそこに構えているのが増毛ターミナルだ。
地元の路線バスの他、札幌からやってくる特急バスも発着する。重要拠点という印象があったが、
実際に来てみると思った以上に寂しい。季節が季節だからそりゃそうなんだけど。

中に入ると、一人だけ地元客がバスを待っていた。窓口もあるが今は閉まっているようだ。
増毛町は観光誘致に対して消極的らしく観光バスの類は走ってない。札幌からの特急バスも1日1本だけ。
普通の人が訪れる動機というか、手段が用意されてないのである。でもそういう場所だからこそ私は行ってみたい。




出発前に調べていて知ったのだが、沿岸バスは結構前から萌えキャラを前面に売りにしてるのだとかで、
萌えキャラがフィーチャーされまくった公式HPの気合の入れようが凄い。(リンクはこちら
「絶対コレ担当者の人がソッチ系の人でしょ」って思ったら実際そうらしかったw

窓口に時刻表やお知らせが申し訳程度に貼ってあるが、よく見ると……


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増毛の最果てにしてこのクオリティ。(ここは秋葉原かっ!)

沿岸バスのフリー切符は萌えキャラが標準仕様で、普通のフリー切符は無いらしい。
そんなバス会社見たことも聞いたこともないぞ(汗)。フリー切符は沿岸全域の路線を全て網羅しており、
さらに天売/焼尻航路の割引も受けられる完全実用仕様だ。値段も至って安い。
普通のフリー切符が売ってないから、観光客も地元客もこの切符を利用してるらしい。シュールすぎるだろ……!

定刻がきたので外で待っていると、年季の入った白いバスがやってくる。
末端到達は達成したが旅はまだまだ終わらない。寧ろこれからといっていいかも。

次回、増毛ターミナルから沿岸バスに乗って大別苅へ向かう!

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2016/03/15 | 日本海北上紀行


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