鈍行列車一人旅

よく電車とバスに乗って旅してます。鉄分多めの旅ネタが主。
鈍行列車一人旅 TOP  >  スポンサー広告 >  日本海北上紀行 >  五能線の旅

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

五能線の旅

「日本海北上紀行 2日目 (秋田~東能代~深浦~鰺ケ沢~弘前)」

[2016/1/6]

早朝4時、私は取り付かれたように起床した。外はまだ真っ暗だ。
昨日すぐ眠りについたのが功を奏したのか、体力は十分に回復している。
天気も良好。奥羽本線の一番列車に乗るべく、さっさと支度を済まして宿を出た。

昨日がほぼ徹夜で4時起き、今日が4時半起きで、明日がはまなすの中で5時起きになると思う。
健康どころか寿命が縮みそうな起床時間の早さだ。俺は田舎の農夫か!
しかし秋田までやって来て後退は有り得ない。鈍行旅は前進あるのみだ。



「五能線全区間(東能代~川部)」

列車を一本でも乗り遅れたら旅程が破綻する。普段10分おきで来る千葉の電車とはここはワケが違う。
本数が極端に限られるローカル線は、のんびりした風情とは裏腹に旅程破綻の恐怖と隣りあわせである。
これから行く五能線なんて正にそうだ。朝の列車を一本乗り遅れたら日中のうちに終点まで行けない。
途中下車も困難。下車駅によっては8時間近くその場で取り残され速攻で試合しゅーりょー!だ。

7時37分発の東能代発弘前行きに乗る。コレが、今日五能線に突入する私の至上命題である。
宿を出てすぐ秋田駅へ。早朝の秋田駅はガラガラで店も開いていない。
1番線でピンクの電車が出発を待っていた。



・奥羽本線 [秋田~東能代]
R0013622.jpg

5時33分発の弘前行きは、秋田から青森方面へ向かう奥羽本線の一番列車だ。
実はこの一番列車の後でも五能線の列車には間に合うが、出来る限り早く現地へ行ってしまおうと考えた。
問題となるのが食料の確保だが、東能代で売店が早朝から開いてるらしく、そこで何とかすればいいと判断。

外はまだ真っ暗で何も見えない。僅かな乗客を乗せて、列車は東能代へ到着する。
下調べ通りキオ○クがあったので食料を調達。コレで下準備は整った。


R0013629.jpg

駅前をフラフラしていると陽が上がってきた。陰影深い夜明けだ。
気温は0度前後くらいで冬の北東北に来たことを実感する。
北国の寒さや積雪は、東京人にとって旅を実感できる一要素だと思う。


R0013654.jpg

列車の時間が近づいてきたので、五能線の乗り場へ移動。
五能線は鉄オタだけでなく観光客にも人気があり、観光誘致の訴求が沢山貼ってある。
ホーム待合室には列車の本物の運転台が設置されていた。
ガチな仕様でボタンを押せば警笛も鳴る本格派。子供の暇つぶしにはうってつけの代物かも。

20分ぐらい前になるとアナウンスが入り、3番線に年季の入った気動車がやってくる。
4時間半に及ぶ五能線全線通し鈍行の旅が、今始まる。



・五能線 [東能代~弘前]
R0013665.jpg

本州最北の絶景ローカル線、五能線。日本海沿いをひた走るこの路線の歴史は1908年まで遡る。
当時、東能代から能代の中心街を結ぶために敷設された奥羽本線の支線「能代線」と、
青森側で川部から五所川原まで線路を延ばしていた「陸奥鉄道」。この両路線を延ばして繋げる呈で五能線は建設された。
延伸工事を進め、私鉄区間を買収し、全通に至ったのが1936年。国鉄五能線(東能代~川部)が誕生する。

五能線は絶景路線として圧倒的な人気を獲得していて、夏になると観光列車リゾートしらかみが毎日運行されている。
リゾートしらかみは全車指定席の快速列車で、指定席券が速攻で売り切れるほどの人気を誇っているが、
私が乗りたかったのはリゾートしらかみではなく、本数の極めて少ない鈍行であった。

五能線の鈍行は深浦を境に運行系統が分断されていて、多くの列車が当駅を起終点としている。
「じゃあ全線を走りきる鈍行なんてないんじゃ……??」と鷹をくくっていたのだが、
時刻表をよく見ると下り列車だけ一本だけ存在していた。(上り列車は本当に一本もない)
7時37分に東能代を出て五能線経由で弘前へ向かう全線通しの鈍行。
途中の深浦で列車番号こそ変われど、この列車こそ五能線を完走する唯一の鈍行である。




3両編成の国鉄気動車だが、後側一両に限っては途中から回送扱いになるようだ。
ガラガラの車内で待っていると奥羽本線からの乗り継ぎ客がドッと入ってきた。
地元の学生で埋め尽くされ、あっという間に満席状態に。

定刻がくると、ディーゼルエンジンを唸らせて東能代を発車した。
能代に着くと学生が降りていき、私含めて数人の"鉄"を残すのみとなった。


R0013693.jpg

能代は栄える町の駅といった雰囲気だったが、能代から先で一気に寂れてきた。
東能代~能代間だけ本数が多いのは、それなりのワケがあるようだ。
北能代を出ると広大な田園をのっそり進む。
天気は穏やかな方だが風が強く、窓の隙間から寒風が入ってくる。

さっきの通学列車の喧騒が嘘のようだ。列車のエンジンと線路の音だけが淡々と響く。
沢目を過ぎ東八森を出たところで、五能線は田園を抜けて日本海に出る。
ここから先延々と続く絶景車窓のお出ましだ。


R0013710.jpg

出発から数十分しか経ってないのに、早くも海沿いに出た五能線。
ずっと海沿いだが車窓は変化に富む。左手には日本海が、右手には白神山地が聳える。


R0013716.jpg

観光施設を有するあきた白神を過ぎると、列車は岩館に到着。行き違いのため8分停車する。
対向から気動車がやってくると、すぐに発車。岩館から先は青森県だ。

五能線の車窓ハイライトはまだ先だが、この辺でも存分に見応えある景色が広がっている。
ゴツゴツした岩肌に波飛沫が舞う。波打ち際を飛び交うのはウミネコの群れだ。
県境を越えると、短い隧道を潜って浜辺の横を抜けていく。




計43の駅を有する五能線だが、途中で乗ってくる地元客は皆無。車内はテツしかいないじゃないだろか……
晴れてるのに雪がチラチラ降っている。青森の方では雪が積もってるのだろう。

十二湖でようやく旅行客が乗り込んできた。二人だけだけど。


R0013765.jpg

今朝の天候は穏やかだが移り変わりが激しく、晴れとも曇りともいえぬ妖艶な空模様。
この辺りは、左手から白神山地を眺められる地点があるようだ。

……陸奥岩崎を出てすぐのところだったと思う。ふと窓から後方を振り返ると、
雲の隙間から陽の光が差し込んでくるのが見えた。すると徐々に遠方が明るくなってきて、
白神山地をバックに、「光芒」と呼ばれる光の筋が海面を照らし始めた。



R0013788.jpg

・・・すげえ。(ライブのスポットライトみたい)

これがランキング一位のローカル線が見せる、素晴らしい絶景だってのか。
今にも光の中から神が降臨しそうだ。

突然現れた光芒は、生きてるかのように収束して、一本の太い筋になった。





神懸りの景色を横目に鈍行は走り続ける。言葉にならない美しさに車内で一人息を呑む。
光芒は日本海側でよく見られる現象らしいが、こんなに極端な光の筋を見たのは初めてだし、
白神山地をバックに現れるというシチュエーションが、私を大いに興奮させた。

光芒は神の如く収束した後、白神山地を包み込むように拡散し広がっていった。



R0013794.jpg

白神山地を拝める地点を過ぎると、観光施設が隣接するウェスパ椿山へ着く。
ホームのすぐ横に野外ステージが設けられているが、今は人っ子一人いない。
ウェスパ椿山からは海のそばを離れ、高度の高いところをノロノロ走る。



R0013820.jpg

大きい集落へ入ると隧道を潜り、拠点駅の深浦へ到着した。
深浦では数分ほど停車。五能線の中間地点といえる駅だ。

ここから先、五能線は超閑散区間へ突入する。深浦~鰺ケ沢間を走る鈍行は1日5本しか存在せず、
下り列車については日中8時間近く列車が来ない時間帯がある。今乗ってる全線通しの鈍行を逃すと、
日没まで一本も列車が来ない。数時間ならまだしも8時間待つとか絶対無理だからw




深浦を出ると、列車は日本海スレスレに出た。五能線最大の見せ所だ。
浜辺スレスレを律儀に辿って、今にも波が降りかかりそうな海岸線を行く。

深浦から広戸にかけては、奇岩が迫る行合崎海岸を通る。
以前乗ったときも車窓が印象に残っていて、すかさずカメラで撮った記憶がある。
鈍行だと一瞬で通過するが、ゴツゴツした岩肌は想像以上のインパクトを与えると思う。


R0013836.jpg

行合崎海岸を過ぎると、列車は広戸に着く。ここは海スレスレの駅だ。
広戸を出て一旦海を離れると小さな集落があって、そこにポツンとある駅が追良瀬である。

再び海岸線に戻り、驫木で地元客が一人だけ乗り込んできた。


R0013896.jpg

小さな集落に入ると駅に停まり、駅を出ると海沿いをひた走る。それが五能線の日常なのだ。
窓から手を伸ばせば届きそうな波飛沫の中を、ウミネコの群れが舞う。
外から波の砕け散る音と、ウミネコの鳴き声が聞こえてくる。

しかし、今日の天気は本当に気紛れだ。雲の隙間から光が差してきたと思ったら青空が広がり、
風が強く吹き始めると晴れなのに雪が降り出したりして、全く先が読めない。
関東平野が平和すぎる場所なんだと思い知った。




閑散地帯を抜けて奇妙な岩棚が見えてくると、観光で有名な千畳敷へ到着。
千畳敷は駅からすぐのところにあるが、列車の窓から見るのはちょっとキツイ。
200年前の地震で隆起したといわれる海岸段丘が広がっている。

千畳敷からも国道とともに海沿いを走り、北金ケ沢で数分停車。
ずっとガラガラの状態が続いていたが少しずつ乗客が増えてきた。


R0013947.jpg

次第に人家が多くなり、列車は延々と走っていた日本海を離れた。
山の中を抜けると拠点駅の鰺ケ沢へ到着。
ここでは20分ほど停車する。気づけば辺り一面雪景色だ。

寒いので、自販で暖かいお茶を飲む。鰺ケ沢の近くには"わさお"がいるらしいが、
駅から徒歩で行くには距離的に無理があった。ブサかわいい顔見てみたかったなー。


R0013960.jpg

鰺ケ沢からは日本海を離れ、ただっ広い津軽平野を抜けていく。
何処までも真っ平らな平野を走り、津軽鉄道と接続する五所川原で乗客がドッと増えた。

次に訪れるのが津軽鉄道なので、五所川原で降りて津軽鉄道に乗り継いでもよかったが、
五能線の完乗を最優先したいし、途中で降りると中途半端になるので終点まで乗り通すことに。
そこはまだ"乗り鉄の意地"が残ってるんだよね、俺。(当初の計画では五所川原で列車を降りる予定でした)
即日でも、思いつきでいくらでも行先を変えられるのはフリー切符のいいところだ。


R0013986.jpg

何時の間にか天気は回復していて、澄み渡るような青空が広がった。真っ白な雪が一面降り積もっている。
りんご畑の中を走ると、林崎へ。りんご畑にポツンと佇む無人駅だ。

藤崎を過ぎると、列車は五能線の終点となる川部に到着。
東能代から147.2kmの道のりにピリオドを打ったわけだが、五能線の鈍行は弘前まで直通するので、
どうせなら最後の最後まで乗り通してしまおう。

川部で列車は進行方向を変え、奥羽本線に入って弘前へ向かう。



R0014000 (2)

弘前、到達!!

12時09分、五能線の鈍行は終点弘前へ到着した。
起点から4時間半に及ぶ道のりだったが、随所で長時間停車してくれたこともあって、
充実した鈍行旅が出来たと思う。不安要素だった天候も比較的穏やかだったのが良かった!

正直、ここまで完璧に行くとは思ってなかった。列車の遅延も全くなかったし。
あと今日の五能線は天候が神懸っていた。白神山地をバックに光芒拝めたのが最大のハイライト。
車窓で思いっきりデレてくれた気がする。"ツンデレ五能線"とでも呼ぼうか。本数はツン、車窓はデレデレ。


R0014013.jpg

奥羽本線と弘南鉄道が乗り入れる弘前は青森県三大都市の一角だ。
せっかく来たのはいいが、一時間後の列車で五所川原へ戻るので駅から離れることは出来ない。
取り敢えず、駅中の蕎麦屋で腹ごしらえをすることに。
厨房のおばちゃんがモロ津軽弁で喋ってて、本州最北まで来たんだと実感。

蕎麦を食した後、キリのいいところで五能線の上り列車に乗り込んだ。
次回、五所川原から津軽鉄道に乗って津軽中里へ向かう!

関連記事
2016/01/25 | 日本海北上紀行


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。