鈍行列車一人旅

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南伊豆東海バスと石廊崎

「伊豆半島日帰り縦断 2/3 (石廊崎港口~石廊崎~石廊崎港口~下田駅)」

[2015/11/30]

熱海から鉄道を辿り、下田からローカルバスに乗って伊豆最南端へ到達した私は、
バスの中にiPhoneを忘れるという、大道芸人レベルの失態を犯してしまった。
「石廊崎港口」の行き先を掲げていたバスは、終点から何処へ走り去ってしまったのか??

とにかく何かしらのヒントを得ようと、バス停の時刻表を見てみることに。
バス停に記載されている情報から、まずは以下の事実が明らかとなった。


R0013131.jpg

・石廊崎港口から先もバス路線は延びており、中木へ向かう便と吉祥へ向かう便が存在する。
・さっき走り去ったバスは10時38分発の吉祥行きである。


……なるほど、大体状況はつかめた。つまり、バスの系統が二つに分かれていたのだ。

詳細な事情は定かではないが、実質的な直通運行なのに、諸々の事情から、
行き先と系統を別々にして運行している便が鉄道・バスともにいくらか存在する。
さっき私が下田から乗り込んだバスは、「下田駅発石廊崎港口行き」の系統を全うした後、
終点到着と同時に石廊崎港口を起点とする「吉祥行き」となって、そのまま出発していったのだ。




「下田駅発石廊崎港口行き→石廊崎港口発吉祥行き」(つまり実質的な石廊崎経由吉祥行き)

ここ一帯のバス路線は、国道136号を突き進む路線と、県道16号を経由する路線(石廊崎線)に大別される。
石廊崎線は1日14~16本あるが、このうち石廊崎港口を経由し、中木・吉祥まで行く便は1日1~2本しかない。
殺人的な本数の少なさだが、それだけ需要がないということなのだろう。利用するのはバスマニアぐらいかもしれない。

何はともあれ、バスの正体はわかった。あとは、あのバスが港口へ戻ってくるのかどうか、だ。
終点到着時に運転士が車内点検をすると思うので、私の置き忘れたiPhoneに気づいてくれればいいのだが。
気がつくと、誰もいないと思ってた隣接の施設から地元のおばちゃんが出てきて、
バス停の前で困る私に声をかけてきた。そこで私は、物乞いの如き口調で助けを求めた。


R0013245 (2)

「すいません、バスに携帯を忘れてしまったんですよ。さっきのバスなんですけど……」
「それはマズイねぇ。取り敢えず電話したほうがいいね、どれどれうちの電話持ってくるから」
「ありがとうございます!本当に助かります!」

電話を貸してくれた地元のおばちゃん、マジ天使。もうなんもいえねえ(汗)。
ということで、私はバス停に記載してある東海バスの電話番号に電話をかけた。
若干テンパってはいるが、何事も無く冷静に状況を説明する。
必死に問い合わせた結果、さっきの直通バスの正体が完全に明らかとなった。

「10時38分に石廊崎港口を発する吉祥行きは、吉祥へ到着した後、
下田駅行きとして11時51分に石廊崎港口へ戻ってくる」


よかったーーーー!一時間後に戻ってくるよーーーー!さっきのバス!(涙目)




「一日一本しかない吉祥発石廊崎港口行き」(石廊崎港口到着の後は下田駅行きとなる)

先程の吉祥行きバスは、往路と同じ経路で元来た道を戻ってくることが判明した。
時間に合わせて戻ってくる復路のバスに乗れば、万事解決だ。さすがにパクられてはいないだろう。

「バス来るまで時間まだあるねぇ。どうせなら岬行ってきなよ。歩いてすぐだから。」
「ご迷惑おかけしました!本当にありがとうございました!」

親切すぎる神対応おばちゃんの後押しで、私は予定通り港口から石廊崎へ向かった。
旅程破綻(と個人情報流出)の危機を逃れ、路上で有頂天になる私は滑稽だっただろう。
気がつきゃ、曇っていた空も晴れ渡っている。旅運は確実に上向きへと向かっている!



・石廊崎港口~石廊崎(徒歩)
R0013133.jpg

石廊崎港口のバス停から、まずは石廊崎港へと延びる道を辿っていく。
海の近くなのに野山がひしめいており、平野民が想像しがちな景観とは全く異にしている。
九十九里浜や茨城沿岸に慣れ親しんできた身としては、こういう風景はなかなか新鮮に見えた。

道脇に商店が増えてくると眼前が開けてきて、小さな港が見えてくる。石廊崎港だ。


R0013240.jpg

秘境的な印象を持っていた石廊崎だが、立派に観光化されているらしい。
港に着くと小さな遊覧船が乗り場に到着し、観光客がドッと降りてきた。
私は遊覧船が目当てではない。公共交通と自らの足で最果てに到達し、景色を眼に刻む。
言葉にすると陳腐だが、それ自体が目的であり、全ての動力源なのだ。


R0013135.jpg

石廊崎港からは、港脇から延びる参道を上って岬の先っぽを目指す。
所要時間は徒歩20分、距離にして約1kmと、それなりに手堅い道のりだ。
キツイ上り坂を上っていると、眼下の港から遊覧船が発していくのが見えた。


R0013141.jpg

上り坂をひたすら上っていくと、道は岬上へ達する。
岬の上にはテーマパーク施設が営業してたらしく、建物もそのまま残っているようだ。

房総半島突端の寂れぶりも相当なものだが、伊豆半島の突端も必然的に寂れてしまったのだろうか。
昭和のまま取り残されたテーマパークの脇に、宗教のポールが立っている。
世界平和というよりホラーな雰囲気を醸し出してるのだが…(苦笑)


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廃墟と化したテーマパークの脇を通り抜けると、神社の鳥居とトイレがあった。
狭くなった道を進み、下りへ転ずる地点で岬らしい岬の景色が開けてきた。大海原も見える。

有名どころの岬には大体灯台が建っているが、石廊崎もこじんまりとした灯台が設けられている。
名を「石廊埼灯台」。灯台には近づくことができず、内部見学もやってない。
灯台を尻目に道は先へと続いている。この辺りで周囲の景色が一気に開けた。


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「何だか思ってた以上に良い感じじゃないか……!」

右手に現れたのは、人工物の介在しない岩肌の姿。
原始の力が織り成す地形美だ。


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「石廊崎、到達!!」

参道は終点に達すると、神々しい伊豆の最南端が姿を現した。
事前に下調べはしていたが、思ってた以上の尖り具合だ。



・石廊崎
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断崖絶壁、それもゴツゴツした岩肌の中に、伊豆半島の南端はあった。
岬の前に広がるのは、ただっ広い大海原に小さな船影たちだ。
石廊崎は海の境界となっており、西は駿河湾で東は相模湾となる。
太平洋とフィリピン海を分かつ境界でもある。

何だか、昔の王道RPGゲーム(ドラ○エとか)のワンシーンに出てきそうな光景だ。
あの岬の突端に神に選ばれし伝説の剣が刺さっていても可笑しくない、絶好のロケーションの良さ。
岩肌に打ち寄せる波の音が、最果て旅情を掻き立てる。悪天候の方が様になりそうな険しさだ。


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神々しい岬突端へ眼がいってしまうが、周辺もまたゴツゴツした断崖に覆われている。
人を生易しく受け入れる場所が一切存在しない。断崖がそのまま海岸線に突き刺さっていて、
その様相が見渡す限り延々と続いている。伊豆南部がここまで鬼畜な場所だとは思ってもみなかった。


R0013189.jpgR0013207.jpg

今まで訪れた岬の中でも、石廊崎は立地・眺め・シチュエーション、全てが魅力的だ。
竜飛岬のような雄大さや、最北の宗谷岬のような圧倒的達成感があるというわけではないが、
港から参道を上ってきて到達寸前のところでヌッと姿を現す石廊崎の姿は、
最果てを目指す一行程として興奮した。手堅い達成感と、ドラマティックな感動があった。

「秘められし力を覚醒し、俺は真の勇者になる!」そんな(イタイ)言動が口に出そうな絶景が眼の前にある。
今にも選ばれし勇者がやってきて、秘められし能力の覚醒フラグをおっ立てそうだぜ!


R0013205.jpg

岬の突端へ行くと石碑が設けられていて、ここが正真正銘の伊豆最南端であることを示していた。
到達の余韻に浸っていると、港から出ていた遊覧船が眼の前を横切っていく。

iPhoneをバスに忘れてしまった男が仁王立ちする姿は、さながら滑稽に見えただろうね。
余韻に浸っていると時間が迫ってきた。勇者の覚醒フラグとか言ってる場合じゃないw
iPhone紛失の"オワタフラグ"を、俺はこれから覆さなければならないのだ!


R0013197.jpg

石廊崎の先っぽから振り返って撮った画像がコレ。断崖にへばりつくようにして神社の祠が建っている。
今にも崖からポロっと取れてしまいそうな、鬼畜な立地条件。
よくあんなとこに建てたもんだ。

もうちょっとだけ絶景を眺めていたいが、復路のバスだけは絶対に逃してはならない。
ギリギリまで滞在した後、急ぎ足で石廊崎をあとにした。



・南伊豆東海バス石廊崎線 [石廊崎港口~下田駅]
R0013246.jpg

「先ほどはすいませんでした!」

元来た道を戻り、神対応おばちゃんの助言で県道のバス停で待つこと数分、目当てのバスはやってきた。
一日一本しかない吉祥発石廊崎港口行きだ。このバスは石廊崎港口で下田駅行きになる。
バスに乗り込むと、顔を覚えていた運転士さんが「コレでしょ??」と例のブツを取り出して見せた。
どうやら、私のiPhoneは無事だったようだ。運転士さん、最高にグッジョブだぜ!

「おやおや、なにやら大変だねぇ……」

乗り込んだ乗客は往路で一緒だった老夫婦もいる。遊覧船に乗ってきたのだろう。
安堵しているうち、あっという間に道は進む。休暇村に着くと老夫婦が降りていき、乗客は私一人だけとなった。


R0013252.jpg

iPhoneは旅行記作成に必須のツールだ。随所で車窓を撮影し、コイツに現況を記録することで当ブログは成り立っている。
何はともあれ無事でよかった。まだ一年しか使ってないからなコイツ。馬車馬の如く使い倒してやんよ!
国道に入っても、乗客は私一人のまま。やがて、定刻通りバスは下田へ到着する。
グッジョブ運転士さんにお礼を述べた後、バスを降りて下田駅へ向かった。

石廊崎の次は天城越えだ。天城峠には、あの有名な"隧道"がある(もちろん旧隧道のほうです)。
次回!河津から路線バスで天城峠を越え、駿豆線に乗って伊豆半島を脱出する!

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