鈍行列車一人旅

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由利高原鉄道の旅

「秋田ローカル鉄道旅 2日目 (羽後本荘~矢島~羽後本荘)」

[2015/10/17]

朝6時半、毎度恒例の自前目覚ましが鳴り響く前に私は起床した。

……何時もは大体身体が疲れきっているから、目覚ましに叩き起こされしぶしぶと起床するのだが、
今朝は何だか何時もと違って冴えていて、すぐに眼が覚めた。早起きすればきっと良いことあるぜと信じて、
7時過ぎにさっそく朝食バイキングで腹ごしらえ。腹いっぱいに満たした後、私は改めて由利高原鉄道の時刻表を確認した。




由利高原鉄道。略して「由利鉄(ゆりてつ)」。羽越本線と接続する羽後本荘から矢島までを結ぶ第三セクター鉄道だ。
路線名称は正式に鳥海山ろく線といい、全長23kmの鉄路に合わせて12の駅を有する盲腸線である。

かつて国鉄矢島線として健在していた同路線は元々、羽後本荘から横手を経て太平洋側の釜石を結ぶ計画のもとに着工された。
その一大計画「陸羽横断鉄道構想」は、当時たびたび起こった天災と資金難が重なって夢のままに終わってしまう。
日本海側・内陸側からともに線路を延ばして繋げようとしたが、内陸側から延ばした路線は早々に廃止されてしまい、
買収・国有化された日本海側の矢島線だけが、一大横断鉄道計画の夢残り盲腸線として生き残ったのだ。

こうして盲腸線として存続することになった矢島線であるが、旅客需要が伸びず85年になって早々に三セク転換された。
「由利高原鉄道鳥海山ろく線」として新たに生まれ変わった同路線は、今年2015年で開業30周年を迎える。
手厚く気合の入った公式ホームページからも伺える通り、この三セク鉄道はギリギリながらも頑張っていて、
イベント列車を走らせたり、ラッピング車を導入したり、観光路線として多彩な施策を打ち出しているようだ。





映画みたいだな・・・。(バリバリのハイビジョンクオリティです)

ツイッターやフェイスブックのアカウントもあるし、ユーチューブの公式アカウントで動画配信までやってる!(汗)
こうしたネットでの情報発信の努力振りもさることながら、由利鉄は特別な列車を毎日走らせているというから驚きだ。
その名も「まごころ列車」。車内におばこと呼ばれる女性アテンダントが乗務し、沿線の案内をしてくれるという。
この特別列車は一日一往復の運行であり、現時点では9時53分発の羽後本荘行き10時46分発の矢島行きがコレに該当する。

今回由利鉄を乗り鉄するにあたって、一日一往復のまごころ列車に時間を合わせて私は旅の計画を練った。
しかし何を血迷ったのか、今朝何故か早起きしてしまった私は、
本来の予定を繰り上げて、まず7時46分発の何の変哲もない鈍行に乗って矢島を目指すことにした。
朝食を腹いっぱい食べた後は早々にチェックアウトし、7時半過ぎに羽後本荘駅へ。

「これから出発する列車は団体さんが乗りますんで、乗る列車に注意して下さいね!」

羽後本荘駅の由利鉄の窓口でフリー切符を購入後、何のことなく改札を通り由利鉄の乗り場へ向かう。
団体さん……!?乗る列車……!?これはもしやとすると、もしや……!



・由利高原鉄道鳥海山ろく線 [羽後本荘~矢島]
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キターーーーーッ!!

7時46分に発する矢島行き鈍行は二両編成の気動車であり、私が切望していた"萌えラッピング車"であった。
由利鉄の全列車は「おばこ号」という愛称を持っていて、その列車の種類も多種多様。
そして由利鉄の最大の目玉といえるのが、数年前辺りから始めたという漫画のラッピング車だ。

以前は「釣りキチ三平」「宇宙戦艦ヤマト」のラッピングを纏っていたというが、
現在は「ゆりてつ~私立百合ケ咲女子高鉄道部~」のラッピングを纏って走っている。
"萌え列車"に乗るのは私は初めてなので何だか新鮮な気分。ド派手なラッピングが旅気分を盛り立ててくれるぞ。


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萌え萌え歓喜一直線。

列車側面は、私立百合ケ咲女子高鉄道部のキャラが華を添える。撮るのも恥ずかしくなってくるほどの萌え萌えぶりだ。
サンデーGXで松山せいじ氏が連載されていたこの漫画は生粋の鉄道フィーチャー漫画らしく、
俗に「日常・空気系」といわれるジャンルの作品(「けいおん」「らきすた」etc)である。

「ゆりてつ」ネットの試し読みでちょっと読んでみたけど、内容は"鉄道版けいおん"って感じかな??
高校時代「けいおん」の洗礼を浴びた私としては、"空気系=けいおん"って図式がどうしても浮かんでしまうんだよネ。
取り上げている路線は多岐に渡り、第一話ではあの「北斗星」が登場します(←サンデーGXの公式ページで試し読み可能)。

キャラは萌え萌えだけど全体的に列車の作画力が凄いので、"鉄"の皆さんも是非(笑)。


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後側に連結された「ゆりてつ」の萌えラッピング車に対し、前側に連結されているのが黄緑色の「宝くじ号」だ。
日本宝くじ協会が助成金で寄贈したイベント対応車であり、列車側面には由利鉄の象徴である鳥海山が描かれている。
どうやら後側の萌えラッピング車は団体客が貸しきるとのことなので、私はやむなく黄緑色の宝くじ号に乗り込んだ。

車内はロングシートだが、向かい合わせで木製のテーブルが一直線に並んでいる。正にイベント列車用って感じだ。
そしてそのロングシートにズラッと座っていたのは、俗に"アラ還"と呼ばれる世代のオバちゃん(失礼!)達であった。
「すいませんー、ここどうぞー!」と一人分席を空けてくれたので、その席に私は座る。
何やらイベントが行われそうな様子だが、その最前列の席に今私はいる!間借りしてるような気分だ。

普段は空いてるという同列車は、今日に限っては満席。前側の一般車にも団体客が乗り込んで大賑わいである。
アラ還世代のオバちゃんパワーに飲み込まれながら、由利鉄の鈍行は定刻通り羽後本荘を出発した。


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列車は発車するとしばらく羽越本線とともに進み、薬師堂を境に独り立ちする。
発車後間もなくして、臨時で同乗する由利鉄名物のおばこさんによるマイクパフォーマンスが始まった。
初めはおばこさんの紹介から始まり、さらには同乗するゆりてつの社員さんからも挨拶が入る。
開業30周年の機運とともに車内が拍手喝采に包まれると、もれなくパンフレットや飲み物が一人一人に配られた。

そうしてこうしててんやわんやに盛り上がる中、列車は子吉を出ると由利鉄唯一の峠区間に突入。
若干だが高度が高くなってきて、左手には眺望の良い車窓が広がる。この峠を越えると列車は小さな川を渡った。


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川を渡り田園に入ったところでおばこさんから再び案内が入り、右手には鳥海山が姿を現した。
地元では秋田富士ともいわれる鳥海山は標高二千メートルを越える活火山で、日本百名山の一角である。
鳥海山は天気がいいときだけ見えるとおばこさんは言う。今日は文句なしの快晴なので、その神々しい姿を存分に堪能する。

「気持ちは何時も二十歳!」と豪語するおばこさんが生粋の秋田弁で乗客を笑わせているうちに、
列車はあっという間に半分の区間を過ぎた。本当にあっという間だ。


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みるみるうちに貰い物が増えていくぞ!!(笑)

実は途中下車しようと思っていたのだが、もうすっかり団体のイベントの中に馴染んでしまっていて、
とてもそんなことできる雰囲気ではない。パンフレット、飲み物、ティッシュに続き、
手作りの乗車記念プレートまで頂いた。笑っちゃうほどの大盤振る舞いだ。

「ここは"特等席"ですので、コレもどうぞ!」「すいません、ありがとうございます!」

さらに"最前列の特等席"ということでおばこさんから最後に頂いたのは、乗車記念の硬券であった。
めっちゃ嬉しいわー!私が"隠れ鉄"であることを端から見抜いておられるのか(苦笑)。
のどかな田園をひた走るうちに、終点はあっという間に近づいてきた。


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終点のちょっと手前でトンネルを潜ると、間もなくして列車は定刻通り終点の矢島に到着となった。
元来の一大鉄道計画通りに建設が進められたならば、ここから先も鉄路が続いていたはずだが、
残念ながら由利鉄の道のりはここ矢島までだ。

到着すると、団体客がゾロゾロと駅入口の方へ移っていく。駅入口には観光地へ向かうと思われるツアーバスが待機している。
矢島駅周辺はこれといった施設や名物がないらしい。滞在時間がそこまであるわけでもないので、
今回は取り敢えず駅周りをブラブラと散策してみることにしよう。


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矢島駅の駅舎は真新しいつくりだが、茶色い木造造りで趣が漂う。駅構内には売店や休憩スペースもある。
団体客のツアーバスが発っていくと辺りはがらんどうとなり、"鉄"数人のみが取り残された。
次に発する復路の鈍行は一時間以上も後だ。これからどうしようか……。

「”末端”だ……!”末端”へ行くっきゃない!!」

こういうシチュエーションに陥ると、私が取る行動は大体決まりきっているのである。
何かしらの土地の末端へ向かうべく、或いは見出すべく、私は矢島駅前を出た。


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駅前から裏手に出て道を北上すると、間もなくしてブチ当たったのが国道108号だ。
由利本荘から石巻を結ぶこの国道を南へ辿っていけば、実は昨日通った陸羽東線の鳴子温泉に行き着くのである。

そして素朴そのものな矢島の町並みをバックに相変わらず聳えているのが、雄大な鳥海山だ。
鳥海山は昨日途中下車で訪れた象潟を形成したルーツでもあり、紀元前に起きた大規模な土砂流出によって、
象潟の島々が形成されたのだという。象潟にかつて存在した「潟」をつくったのはあの鳥海山だった、というわけだ。


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一見何も無い土地にも自身の旅路とリンクする"何か"がある。何も無いからこそ価値がある。

そうカッコよく綺麗事を並べたいところであるが、結局土地の末端らしい末端を見つけられなかったので、
国道108号から子吉川と鳥海山を眺めた後、私は缶珈琲を飲みながら元来た道を戻り矢島駅へ戻った。
しばらくすると、羽後本荘行き鈍行の改札が始まる。復路は念願の「まごころ列車」だ。



・由利高原鉄道鳥海山ろく線 (まごころ列車) [矢島~羽後本荘]
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9時53分に矢島を発する羽後本荘行き鈍行は、一日一往復のみ運行の「まごころ列車」である。
先程の例外的サプライズの団体列車とは関係なく、9時53分発の羽後本荘行きはまごころ列車として毎日運行されるらしい。
単行の新型気動車であるが、ささやかにも専用のヘッドマークが付いているのがいい。
そして、ヘッドマークに華を添えるのは安定の萌えキャラである。

ヘッドマークに写る萌え~な女性キャラは「やしまこころ」といい、一応公式のプロフィールでは、
由利高原鉄道の列車アテンダントという設定になっている。へえーそうなんですかー(汗)。


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先ほど乗った宝くじ号はイベント特化のロングシートだったが、これから乗る新型気動車は手堅いクロスシートになっている。
各座席にはテーブルが一つ一つ設けられていて豪華!何処ぞの東○の新型気動車とは天と地の差である。

やがて定刻が来ると、羽後本荘行きのまごころ列車は僅かな観光客と"鉄"を乗せて発車した。
専属のおばこさんが、パンフレットでは絶対にわからない地元のウンチクを一駅ごとに案内していく。
しばらくすると、往路で貰った乗車記念プレートを再び頂いた。こんなサービス列車を毎日運行する由利鉄には恐れ入る。


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列車は矢島を出ると子吉川と平行して進み、ディーゼルエンジンを唸らせながらのんびりとひた走っていく。
由利鉄の中間地点にして唯一の交換駅の前郷では、全国的にも珍しいタブレット交換が行われる。
その模様を撮影しようと"鉄"が我先に先頭部に集まるが、交換はほんの一瞬であった。

近くの幼稚園の園児に見送りされながら、列車は前郷を出発。前郷を出るとただっ広い田園地帯をひた走る。
すると田園地帯真っ只中にポツンとあるのが、由利鉄唯一の秘境駅として知られる曲沢だ。
おばこさんによれば「たまにここで降りていくマニアがいらっしゃる」のだという。

ハハハ……、私往路の鈍行であすこに降りようとしてましたわ(苦笑)。


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鮎川を出ると列車はちょっとした峠に差し掛かり、右手には眺望の良い車窓が広がる。
その由利鉄唯一の峠を越えると、列車は子吉へ。駅舎内に郵便局が併設されている珍駅である。
子吉の次の薬師堂を過ぎると、由利鉄は羽越本線と合流した。ここまで来れば終点の羽後本荘は目と鼻の先だ。


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10時34分、由利鉄のまごころ列車は終点の羽後本荘に到着する。
由利高原鉄道の往復旅もこれで終わり。暖かみたっぷりのおばこさんにお礼を述べた後、
私は羽越本線の乗り場へ移動し、間もなくしてやってくる10時41分発の秋田行き鈍行を待った。

由利高原鉄道は以前から気になっていた三セク鉄道だが、往路の”サプライズ”もあって楽しい旅が出来たぞ。
「ここはただの三セクじゃない!」と思わせてくれる価値と施策があちこちに見られたし、
何より駅員さんやアテンダントさんの"頑張ってる感"が素晴らしかった。再訪……しなきゃな!

往時の一大鉄道構想計画の生き残りとして頑張っている由利鉄に、皆さんも訪れてみては如何だろうか。
次回!秋田から奥羽本線羽後交通の路線バスに乗って、秋田内陸縦貫鉄道の起点角館を目指す!

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羽後交通大曲角館線が行く

「秋田ローカル鉄道旅 2日目 (羽後本荘~秋田~大曲~角館)」

[2015/10/17]

無事に由利高原鉄道を乗り通したということで、私は南からやってくる羽越本線の鈍行に乗って秋田へ向かった。
ロングシートのステンレス電車が、秋田の平野をひた走る。この区間は既に数年前に乗り通しているので、
車窓にややデジャヴ感を感じざるを得ない。今日は土曜なので、車内は行楽客で埋まっている。


・羽越本線 [羽後本荘~秋田]
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羽後亀田を出ると列車は日本海沿いに出る。一駅一駅進むごとに乗客が増えて、何時の間にか満席状態に。
今や東京では当たり前の4G回線も、この地では容赦なく3G回線に格下げされるようだ。
終いには立ち客も出て、列車は終点の秋田に到着となった。

秋田市の中心にして要衝、秋田(当たり前だべさ)。ここ秋田には奥羽本線と羽越本線の計二路線の他に、
男鹿半島へ向かう男鹿線の列車も直通で乗り入れている。ロングシート鈍行地獄の秋田界隈でも、
男鹿線は昔ながらの国鉄気動車だ。奥羽本線や羽越本線も全部この気動車ならいいのにと思う。


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秋田からは奥羽本線の鈍行に乗って内陸へ向かうが、ここに来て私は致命的な問題に直面していた。

「旅費が・・・旅費がねえ・・・」

そうなのだ。運賃や宿泊代は事前に用意するが、観光などで使う余分な旅費を今回は全く持ってきてなかったのだった。
現状、懐に残されているのは、秋田内陸縦貫鉄道の運賃と昼飯代と帰りの新幹線の運賃を足した分のみであり、
その分を引くと、手元はリアルで数百円以下になってしまうというジリ貧状態に陥っていた。

このままでは夜飯にあり付けないし、秋田駅から遠いらしいみ○ほのATMに駆け込む時間も無い(完全に自業自得ww)。
そこで短区間でも高運賃になってしまう新幹線を避けるために、私は昨日の宿滞在時に急遽別の行程をおっ立てた。
そのジリ貧突破ネタは後にとっておいて、今は取り敢えず奥羽本線の鈍行に乗って大曲を目指そうか。



・奥羽本線 [秋田~大曲]
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秋田からは間髪入れずに奥羽本線の鈍行に乗り換える。11時38分発の新庄行き鈍行だ。
長大幹線の奥羽本線だが、この区間の鈍行は1日10本以上あり、さほど乗り継ぎには困らない。
車両は相変わらずのピンクのステンレス電車だが、こちらは一部の座席がクロスシートになっている。

奥羽本線の内陸区間は私は未開地で、まだ一度も行ったことがない。
列車は秋田を発すると市街からただっ広い田園に出、甲高い音を立ててかっ飛ばす。
峠区間もある奥羽本線だが、この区間の道のりは至って平坦だ。進むごとに車内はガラガラになってきた。


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和田を過ぎると人家が少なくなり、鬱蒼とした山あいを突き進む。
次第に上り勾配へと差し掛かるが、軽快な電車なので上ってる感覚は希薄。
沿線沿いは特に景勝地たる場所が存在しないが、すっかり紅葉した山々が車窓を彩っている。

しばらくすると山あいを抜けて、刈和野へ到着。ここで対向列車待ち合わせのため5分停車となった。
刈和野から先は何の変哲も無い郊外のようだが、広大な田園の向こうに内陸の山々が聳えるのが印象的だ。


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この区間の奥羽本線は新幹線用の線路と鈍行用の線路に分かれていて、線路の幅も少し違う。
俗に鉄用語で言う「標準軌(1435mm)」「狭軌(1067mm)」ってやつだ。

標準軌は日本の新幹線で使われている線路幅で、他の一部私鉄でも採用されている国際的に最も一般的な線路幅だ。
しかし何を血迷ったのか、明治の鉄道黎明期において大隈重信が外国人に無理やり唆された結果、
日本の在来線は、標準軌よりも線路幅が狭く走行面で不利な狭軌が採用されることとなった。

「標準軌より狭軌の方が予算がかからないって??というか"ゲージ"って何??」

この大隈重信の致命的な知識不足によって、日本の鉄道規格は安易に決められてしまったのであった。
当時の狭軌決定に関する公的資料は全く残されてないらしいが、
大隈重信自身がそもそもゲージの意味すら知らなかったという逸話が残っている。信じられない話だが。
あまりにも鉄道の知識が貧弱だった当時の国有鉄道は、半ば外国からのおまかせで決めるしかなかったのだろうか……。


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12時40分、奥羽本線の鈍行は定刻通り大曲へ到着する。ここ大曲からも鈍行に乗って先を進みたいところだが、
ミニ新幹線専用路線と化した田沢湖線は鈍行の本数が著しく少なく、新幹線が完全優勢となっている。
田沢湖線の西側区間の鈍行の本数は殺人的に少なく、時刻表を見ると1日7本しか走ってない。

次にやってくる田沢湖線の鈍行は二時間後だ。その二時間後に発する田沢湖線の鈍行では、
どう頑張っても、秋田内陸縦貫鉄道の紅葉列車の発車時刻に間に合わない。
そこで私が急遽考案しおっ立てたのが、鉄道と並行する路線バスを利用するという行程であった。
大曲と角館を結ぶ、羽後交通の大曲角館線。大曲角館線こそ今回の旅の救世主であろう!


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年々鰻上りの新幹線機運に逆らうの如く、私は大曲駅から一人ひた歩いて羽後交通のバスターミナルへ向かった。
大曲駅の西口から徒歩2分のところに、羽後交通のバスターミナルはある。大曲と角館を結ぶとはいえ、
バス自体は大曲駅前から発するわけではないから注意したいところだ。



・羽後交通大曲角館線 [大曲バスターミナル~角館駅前]
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羽後交通の大曲角館線は、田沢湖線と並行する国道に沿って走る極めて実直なバス路線だ。
秋田最大の規模を誇る同バス会社の主要路線の一つであり、大曲バスターミナルを起点として、
羽後長野駅と角館駅を経由し終点の角館営業所へ向かう。現時点では1日最大13本運行されている。

大曲~角館間は、本数の多い秋田新幹線だと普通運賃と指定席券代合わせて1590円かかってしまうが、
並行するこの路線バスを利用すれば、510円で済む。本数も田沢湖線の鈍行より多いようだ。
所要時間は約40分。発車10分前にバス停に向かうと既にバスが停まっていた。
何てこともないワンステップバスだ。でもこの実直さが、またいい。

天下の新幹線に負けられない、意地(というか金がなかっただけ)の閑散区間突破行程が今始まる。
13時ちょうどに発する角館営業所行きバスは、たった4人の乗客を乗せて定刻通り発車した。


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バスは駅前通りを出ると、間もなく国道105号に入り北上。進むうちに地元の乗客が少しずつ乗ってくるが、
観光需要がないのか旅行客は私一人だけだ。国道に入って間もなく、バスは奥羽本線の線路を渡った。

「(ニッチになるほど)もっと、熱くなれよぉおおおおおおお!!」

どっかの修造さんの名言が脳裏をよぎったが、圧倒的多数派(=新幹線)に敢えて背を向け旅するのもいいのではないかと思う。
巨○よりはヤ○ルト千葉ロ○テを応援し、ド○クエよりは聖○伝説ガ○パレをやりこむのと同じようにww、
ニッチを志向すればするほど熱くなれる何かがあるのだと思う(完全にオタクの苦言ですありがとうございます)。


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内陸の田園地帯を突っ走り、しばらくするとバスは国道から裏道に入って羽後長野駅前へ到着する。
羽後長野駅前を出ると裏道から再び国道に戻って、平坦な路を一路ひた走っていく。

一級河川の玉川を渡って間もなく、バスはずっと律儀に辿っていた国道105号を出て裏道に入りソロソロと走る。
乗客がバスを降りると発車時に必ず警笛を鳴らすのは、羽後交通の決まりなのだろうか。
狭苦しい裏道を辿り駅前通りを過ぎると、バスはほぼ定刻通り角館駅前に到着した。


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ありがとう、大曲角館線!!

到着し僅か二人の乗客を降ろすと、大曲角館線のバスは間もなくして終点の角館営業所へと向かっていった。
なかなかグッジョブな路線だったと思う。何せこのバス路線が無ければ新幹線に乗らざるを得なかったんだから。

角館は「みちのくの小京都」と呼ばれる地であり、近くには武家屋敷があるという。
その武家屋敷とやらも見てみたかったが、時間の都合上無理そうなので今回は我慢。
すっかり腹が減ったので、駅から近くで美味しい店がないか探してみると、
どうやら本格的な蕎麦屋さんがあるというので行ってみることに。


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駅前から駅前通りをトボトボ歩き武家屋敷がある方へ向かうと、10分ほどでお目当ての店を発見した。
「角館そば」。見かけは由緒正しい蕎麦屋さんだ。

典型的日本人らしく限定物に弱いので、土日限定の「田舎そば」を注文してみる。
非常に上品なそばで、そば素人の私にはちょっと早いとも思えるほど本格的な味わいだ。
美味しいので追加注文しようと思ったが、旅費が底を尽きていたので我慢。完食後はやむなく店を出た。


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美味しいそばを食した後、私はやむなくして角館駅へ戻り駅構内のキ○スクで今日最後の食料となる駅弁を購入。
これで、手元に残された余分な旅費分は残り500円以下をきった。まあ……なんとかなるだろう。

次の秋田内陸線の列車出発までちょっと時間があるので駅前を探索してみると、
農業センターの支店と思われる建物に、コレまた萌え~な女性キャラ(画像右)を発見した。
調べてみると、どうやら彼女の名は「おばこ娘」というらしい。農業協同組合の公式キャラクターである。

農協のキャラクターにしては随分と萌え度が高い気がするな……。普通にギャルゲーとかに出てきそうじゃないかww。


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駅前の真ん前にデン!と構える田沢湖線の駅舎に対し、秋田内陸縦貫鉄道の駅舎は実にこじんまりとしている。
今日は貴重な紅葉列車の運行日なので観光客でごった返すのかと思いきや、そんなことはなく、
思った以上に閑散としている。意外と穴場なのかもしれない。

路線愛称に「♥」が付く嬉し恥ずかしの三セク鉄道で、今回のローカル旅はもう一つの佳境を迎える。
次回(最終回)!角館から秋田内陸縦貫鉄道の紅葉列車に乗って、一路弘前へ向かう!

森吉山麓紅葉号に乗って

「秋田ローカル鉄道旅 2日目 (角館~鷹巣~弘前~新青森~東京)」

[2015/10/17]

「がんばれ♥がんばれ♥」

……これから乗る秋田内陸縦貫鉄道の路線は「あきた♥美人ライン」という愛称が付いている。
愛称に付される「♥」(はぁと)はもちろん正式な表記であり、私が悪ノリで勝手に付したものではない。
この愛称は2012年に公募によって決められたのだという。尚、上に付した伊東ラ○フの一節とは全く関係ないんでよろしこ!


Singles Going Steady

「途中下車するのは~♪無人駅~♪」

さて、のっけからふざけ気味で始まった秋田ローカル旅記事の最終回。まずは上の"参考動画"を見てほしい。
かのAKBから演歌歌手として新たに躍進を果たした、岩佐美咲の2012年発ソロデビュー曲「無人駅」である。
侘しい無人駅を題材にしたこの曲のプロモーションビデオの舞台となっているのが、これから乗る秋田内陸線なのだ。

秋田内陸縦貫鉄道秋田内陸線。角館から秋田の内陸真っ只中を縦貫し鷹巣までを結ぶ、第三セクター鉄道路線である。
全長100km近くにも及ぶ同路線は、かつて国鉄時代においては二路線(阿仁合線・角館線)に分断されていた。
意外にも千葉県流山市出身の岩佐美咲(千葉北西地元民歓喜!)の熱唱を存分に味わったところで、
元々は国鉄が運営していた秋田内陸線の大まかな歴史とルーツを、以下で振り返っていこう。




鉄道建設の全ての大元となる鉄道敷設法によれば「秋田県鷹ノ巣ヨリ阿仁合ヲ経テ角館ニ至ル鉄道」として定められ、
阿仁鉱山からの鉱石を運ぶための鉄道として、1934年にまず鷹ノ巣から線路を延ばして阿仁合線が開業した。
現行の秋田内陸線の鉄路を形成する第一歩だ。この阿仁合線は戦後になると比立内まで延伸された。
阿仁合線の開業に続き、70年代に入ると、角館からも線路が延ばされ角館線(角館~松葉)が開業する。

この南北の二路線は、後に一つの路線となって繋がる構想だった。しかし、その夢は国鉄時代には叶えられずに終わった。

80年代に入ると国鉄はジリ貧となり、地方ローカル線を特定地方交通線に指定して次々と廃止・転換していったのだが、
阿仁合線・角館線も例外でなく特定地方交通線に指定され、進んでいた未開業区間の工事が凍結してしまったのである。
しかし、地元の存続に対する熱意は負けなかった。そのまま分断されたまま廃止になろうかと思われた矢先、
両路線は新たに三セク鉄道「秋田内陸縦貫鉄道」として運営されることとなった。1986年に三セク転換が行われ、
凍結していた未開業区間の延伸工事を再開。かくして1989年、かつての構想どおり全線が開通し秋田内陸線は誕生した。

全通から四半世紀のときが経過した今、秋田内陸線はギリギリの経営状態ながらも秋田の名物として健在している。
こじんまりとした角館駅舎内で片道全線切符を購入し、私は秋田内陸線の臨時列車のもとへ向かった。
小さな乗り場に停まっていたのは、少し年季の入った二両編成の気動車だ。



・森吉山麓紅葉号 [角館~鷹巣~弘前]
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森吉山麓紅葉号は、秋田内陸縦貫鉄道が毎年秋に限定運行している臨時快速列車である。
地元秋田の紅葉盛りとなる10月の土休日に増発されるこの列車は、奥羽本線の弘前を起点として、
鷹巣を経由し秋田内陸線の全線を走破する直通列車だ。コレに乗れば弘前~角館間を一本で行くことができる。

秋田内陸線の列車の本数は非常に少なく、その多くの列車が阿仁合を起終点としている。
現時点で全線を走り切る鈍行は往路復路とも1日4本のみ。旅行の行程に組み込むにはなかなか厳しいダイヤとなっている。
今から乗る復路の森吉山麓紅葉号は、14時41分に起点の角館を出発し4時間弱かけて終点の弘前へ向かう。
列車種別は「快速」となっていて、急行料金は一切必要ない。色んな意味で大盤振る舞いの見本のような列車である。

使われる車両は先頭部が流線形になっている二両編成の気動車で、車内は手堅い転換クロスシートがズラッと並ぶ。
車内中央部にはサロンスペースもある。以前は急行にも使われていたこの車両は、現在は臨時列車のみで使われているという。
予想以上に閑散とした中で列車画像を確保した後、私はソロソロと流線形の気動車に乗り込んだ。


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森吉山麓紅葉号の車内はこんな感じ。秋田内陸線全通から走り続けてきた車両で、内装はそれなりに年季が滲み出ているが、
私は寧ろ、その長年の年季が醸し出す味が好きなのだ。座席も先ほどのJRの電車とは比較にならない快適さ。
やがて定刻がくると手堅いディーゼルエンジンを唸らせ、復路の森吉山麓紅葉号は角館を出発した。

列車は角館を発すると田沢湖線と分かれ、一路北上する。角館を発してしばらくは、右手に奥羽山脈が聳える。
紅葉列車らしく、これぞ秋田の佇まいといった女性アテンダントが車窓を詳細に案内してくれるが、
そのアテンダントさんによると、これから内陸線は標高300mの地点まで上っていくらしい。


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往路はどうだったのかわからないが、復路の紅葉号は今のところガラガラである。
アテンダントさんの車窓案内は、これまで出くわしてきた中でも一番上手いかもしれない。
どちらかというと堅苦しい印象を持つ観光列車の車窓案内だが、内陸線の案内は凝っていて言い回しが心地よい。
ただマニュアル通りに決められたフレーズを言うのではなく、"人の力"がこもっている。

角館から三駅隣の八津で対向列車待ち合わせのため、数分停車。
こっちはガラガラなのに、対向から来た単行気動車はめちゃくちゃ混雑していたからびっくりした。


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八津から内陸線は鬱蒼とした山あいに入り、両側には紅く染まった山々が見えてきた。
旧角館線の終着駅だった松葉を過ぎ、並行する桧木内川と何度も交差しながら列車は秋田の山間部へと入っていく。

松葉からしばらく先は、紆余曲折の果てに開通した新線区間だ。
戸沢を出ると列車は市境の峠を貫く十二段トンネルに入る。県内最長のトンネルである。
この十二段の長大トンネルを抜けると、列車は阿仁マタギに到着。この辺りから山々の紅葉が素晴らしくなってきた。


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どうやら、紅葉号では専属のアテンダントさんによって車内販売が行われるらしい。
完全に旅費が限界だが、ここで何も買わないわけにはいかないし、何というか流れ的にマズイ。
取り敢えず私はりんごのお菓子を一つ買うことにした。県内産のりんごを使ったノンフライチップスだ。

「すいません、実はもう帰りの新幹線の分しか旅費が残ってないんですよー、ハハハ……」
「そうですか、大変ですね~。……何処からやって来られたんですか??」
「東京から来ました。明日から仕事なので、今夜新幹線で東京に帰ります」
「そうですかー、これから先で紅葉が綺麗になってきますので、楽しんでいって下さいね~」

おしとやかというよりも奥ゆかしい佇まいのアテンダントさんは、東京では絶対に醸し出せない雰囲気を纏っていた。
普段タメの女友に「そんなんだからあんたはずっと○○なんだよ!バーカバーカ!」とか罵られる者としては、
ちょっとした心遣いだけでもあったけぇ気分になれますわー。沁みますわー(涙目)。


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何時の間にか並行する川は渓谷へと姿を変え、風光明媚な景色が展開する。
奥阿仁を出てしばらくしたところでは、列車は内陸線屈指の名物である比立内橋梁を渡る。
観光列車らしく橋梁に差し掛かるとゆっくりと徐行し、右手には渓谷の絶景が広がった。

比立内橋梁の絶景を過ぎると、列車は旧阿仁合線の終着駅だった比立内に到着する。
ここで再び対向列車待ち合わせのため数分停車となった。
比立内からは旧阿仁合線の区間へ入る。渓谷の脇を縫うように進み、
もう一つの名物として知られる大又川橋梁に差し掛かると再び徐行。右手に現れたのは二重の道路橋が重なる絶景だ。


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なかなか、渋い"構図"ですわな!

眼下を流れるのは風光明媚な阿仁川。内陸線最大の景勝地として、この橋梁の景色は広告でよく使われるという。
鉄路と同じ高度で架かっているのが国道105号で、その下に架かってるのが国道以前から存在する旧道である。

ちなみにこの国道105号をひたすら南へ辿っていくと、先程訪れたゆりてつの起点である羽後本荘へ行くことが出来、
さらにその羽後本荘から接続する国道108号を南へ辿れば、昨日訪れた陸羽東線の鳴子温泉へ行き着くのである。
前記事から引っ張り続けてきた国道ネタを(無理やり)結実させたニッチなセンスを誰か褒めてほしい(笑)。


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どうやら、復路のアテンダント常務は阿仁合までらしい。
二つの名物橋梁を過ぎいくつか駅を過ぎると、列車は運行拠点となる阿仁合へ到着。
「ありがとうございました~」とアテンダントさんが別れの挨拶を華麗に交わし、列車を降りていった。

16時過ぎ、数分だけ停車した後、紅葉号は定刻通り阿仁合を出発する。
阿仁合から列車は阿仁川のすぐ脇を走り、左手にひたすら川沿いの風景が広がるようだ。


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ここまで来ても、車内は相変わらずガラガラ。
アテンダントさんがいるといないとでは、やっぱり車内の雰囲気がガラッと変わる。
華やかな紅葉列車というよりは哀愁のローカル列車だ。車窓案内もなく淡々と川沿いをひた走っていく。

阿仁前田で観光客が3人だけ乗り込んできた。
車窓左手に広がる雄大な阿仁川の景色は、宗谷本線の天塩川とシンクロするものがある。
あの孤高にして唯一無二の宗谷の鉄路を想起させるとは……、秋田内陸線の車窓はなかなか懐が深いぜよ!


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阿仁前田からも阿仁川沿いの風景が続くが、米内沢を出たところで列車は川沿いを離れた。
米内沢からは人家が多くなってきて、素朴な平野の中をひた走りに走っていく。
合川で対向列車待ち合わせのため数分停車。対向の鈍行は地元の学生客で埋まっていた。

ここまで来れば、内陸線の道のりもあと少し!
終点すぐ近くでは、夕日が山に没する瞬間が拝めた。正に絶好のタイミングだ。


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16時53分、奥羽本線と合流すると列車は秋田内陸線の終点鷹巣へ到着となる。
紅葉号はこの先で奥羽本線に入り終点の弘前へと向かうが、線路や列車の運用の都合上、
内陸線は奥羽本線にすぐ直通ができない。そのため、この駅では30分強かけて列車の入替作業を行う。

鷹巣(JR側の表記は鷹ノ巣)に列車が到着すると、まず内陸線のホームに入線して降車客を降ろした。
内陸線のホームで数分停車した後、列車は一旦バックし内陸線の線路上で長時間停車する。
線路内で10分ほど停車した後、列車は奥羽本線の線路に入りJRのホームへ入線した。
あとはこのまま奥羽本線を進み、終点の弘前を目指すのみである。


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紅葉号は鷹ノ巣を定刻通り発車すると、日が暮れすっかり真っ暗になった中を駆け抜ける。

外はもう何も見えなくなってしまったので、私は今日最後の食料となる駅弁を食べることにした。
車窓を眺めながら食べるのが乙だが、私の場合、日中はレポに全てを注ぐため食べる時間がない(メタ発言…)。
あきたこまち弁当。シンプルな幕の内弁当だが、下手に凝ってるより気を衒わない弁当の方が個人的には好きだ。


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17時45分に列車は大館に到着。向かいのホームには花輪線の鈍行が停まっている。
名ばかりの快速が横行する作今だが、紅葉号は最初から最後まで停車駅が少なくて良い。
碇ヶ関の到着は18時06分で、18時16分に大鰐温泉を出た。4時間弱の長い道のりもあと少しだ。

この区間の奥羽本線は普段、JRのロングシート電車で耐え忍ぶ乗り鉄泣かせの区間であるが、
今乗ってるのは内陸線が誇る快適な気動車である。その手堅い走りを今回は存分に味あわさせて頂いたぞ。


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「弘前、到達!!」

18時28分、森吉山麓紅葉号は定刻通り終点の弘前へ到着した。
どうせなら青森まで走ってほしいが、森吉山麓紅葉号の役目はここ弘前までだ。
約10分後に発車する青森行きの列車に乗るため、紅葉号に別れを告げた後、私は3番線乗り場へ向かった。

秋田内陸縦貫鉄道秋田内陸線の車窓で展開したのは、実に懐の深い山岳路線としての景色だ。
秋田の内陸の険しさは伊達ではなく、峠を長大トンネルでぶち抜いた先には想像以上に深い渓谷があった。
存廃論も飛び交う秋田内陸線だが、あの風光明媚なローカル車窓が見れなくなるのはもったいない。
行く先厳しい経営状態が続くと思うが、何とか存続していけないものかと願うばかりだ。



・リゾートしらかみ5号 [弘前~新青森]
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弘前からは、まさかのリゾートしらかみ号で新青森へ向かう。今回の秋田ローカル旅の行程最後を飾る列車である。
18時42分に弘前を発するリゾートしらかみ5号は、4両編成の気動車。秋田から五能線を経由して遥々やってきた奴だ。
派生列車のリゾートみのり号と同じく座席はシートピッチの広いクロスシートで、憩いの展望スペースもある。
弘前から青森までの所要時間は40分ぽっきり。最後の最後のおまけ行程だが、コレが結構馬鹿にならない。

車内はガラガラであり、1号車には私を含めて僅か二人しか乗ってない。
真っ暗闇の中をひた走り、やがて40分後に列車は東北新幹線と接続する新青森へ到着する。
リゾート列車に始まりリゾート列車に終わるという、贅沢な臨時列車三昧の行程を無事全うした。



・はやぶさ38号 [新青森~東京]
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「東京へ、帰るべさ!!」(↑この角度だと新幹線ってイルカみたいな形してるよなww)

19時44分発のはやぶさ38号は、新青森を発する東京行きの最終便だ。この列車は盛岡まで律儀に各駅へ停車する。
実は帰路については夜行バスを利用しようと思っていたのだが、予想以上に疲れてしまったのでやむなく新幹線を選択。
数年前までだったら「あけぼの」に乗る選択肢もあったが、今はそうもいかない。専ら新幹線に頼るしかないのだ。

休日の行楽客とすっかり腹ペコになった私を乗せて、東京行きの最終はやぶさ号は一路東京へ向かった。

・旅の総費用:38920円(秋の乗り放題パス+指定券代+新幹線運賃+三セク運賃+バス運賃)
・乗った乗物の数:鈍行7本+快速3本+バス1本+新幹線2本
・総距離/所要時間:約600km/1泊2日


それなりに費用(主に新幹線代)がかかってしまったが、今回の秋田ローカル鉄道旅は例に漏れず大成功となった。
コンセプト的にも良い感じに収まったと思うし、何より臨時列車づくしだったから単純に楽しかったぞ。
意外にも起伏に富む陸羽東西線、由利高原鉄道でのサプライズ、秋田内陸縦貫鉄道の絶品車窓。
小出し気味で全五記事に及ぶ内容となったが、本稿にて秋田ローカル鉄道旅を終幕する!
(完結)


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