鈍行列車一人旅

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旧・成田空港駅の遺構

「芝山/東成田攻略 1/2」

[2015/6/13]

千葉県には多種多様な鉄道が走っているが、その中でも珍中の珍といえる路線が一つある。
芝山鉄道。現時点で"日本一短い鉄道"として知られる三セク鉄道だ。

芝山鉄道は成田空港の地下に存在し、京成と接続する東成田から一駅隣の芝山千代田を結んでいる。
距離にして僅か2.2km。全線単線であり、もちろん途中駅も無し。
イレギュラー要素に満ちた超ローカル鉄道だ。




何故こんな辺鄙な場所に鉄道が敷設されたのか??その理由は、空港建設に反対した地元の派閥に対する見返りである。
鉄道網が充実している空港西側との格差を埋めるため、迷惑だけを蒙る東側に対し国が鉄道建設を確約した。
会社設立は1981年と古いが、路線の着工に至ったのは1998年で20年近くのブランクがある。
その空白期間における"泥沼劇"を乗り越えた末、2002年に芝山鉄道は開業した。

芝山鉄道は空港西側から東側を結ぶ役割を(一応)持っているが、旅客路線の需要はほぼ無いと考えられる。
言ってしまえば、芝山鉄道の存在意義は存在すること自体にあるといっていいだろう。


P6150005.jpg

16時過ぎ、東松戸からスカイアクセスに乗って成田空港の空港第2ビル駅へやってきた。
空港第二ビル駅から東成田駅は連絡通路で繋がってるらしく、
今回は「空港第二ビル~東成田~芝山千代田」の順で辿ってみようと思う。

連日、多くの人でごった返す成田空港。国内最大の国際拠点なのに、
ここには時代に取り残された"秘境廃駅"が残っている。
今から私はそれを見に行くのだ。



・連絡通路 [空港第2ビル~東成田]
P6150007.jpgP6150006.jpg

空港第二ビル駅の改札を出てすぐのところで、物々しい地下通路の入口を発見する。

東成田の連絡通路だ。通路は500mあり、歩いていけば東成田駅のコンコースへ行けるはずだ。
入口の横で警官が張り込んでおり勝手に入っていいのか憚れる雰囲気だが、
一般人でも入れる場所だと下調べしてたのでドヤ顔で突入した。



P6150008 (2)

・・・・・。

誰もいない…。何も無い……何なんだここは?異世界の入口か??
無機質すぎてちょっとした背徳に近い雰囲気すら漂っている。
現在この通路を利用してるのは空港の従業員ぐらいだろう。

奥へ入っていくと空港の喧騒があっという間に消え失せ、物音一つ聞こえなくなった。


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「ォォーーーー………」

換気口の音、近くを通る空港線の地鳴り音、そして自分の息遣いしか聞こえてこない。ホラーかよ!
携帯の電波も一切届かず、あっという間に圏外になった。
気のせいか向こうが霞んで見える。マリオ64の階段みたいに無限ループしそうで怖い。
こんなところにずっといると頭がおかしくなりそうだ。


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怖いくらいに殺伐な連絡通路だが、かろうじて昔の広告が残ってたりもする。
かつて東成田が"成田空港唯一の鉄道玄関口"として君臨していた頃の産物だ。

通路には監視カメラがいくつも設けられており、緊張感が半端ない。
正直、探索するには気が滅入る場所である。早く抜けたい……!
でもこの取り残された感も捨て難いものがあったりする。


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誰もいない通路を延々と歩いていくと、出口が見えてきた。
東成田駅だ。空港第2ビルからの所要時間は5~8分くらいだろうか。

地下通路を出るとがらんどうとしたコンコースに出た。



・東成田駅(旧・成田空港駅)
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誰もいないんだけど・・・

さっきの人ごみが嘘のようだ。駅というより巨大な廃墟に近い。
成田空港の鉄道玄関口として機能していたこの駅は、今は衰退の一途を辿っている。
広大なコンコースは当時の状態から全く手がつけられてなく、至るところが色褪せボロボロになっている。

恐らくカフェや売店があったんだろう、一部のスペースは厳重な柵で封鎖されていた。
駅入口の階段にはエスカレーターがあるが稼動していない。
広大なコンコースを有し売店を開きエスカレーターを動かすほどの需要とキャパシティを、
もうこの駅は一切必要としていないのだ。


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時代に取り残され、撤去されることもなくただ存在し続ける昭和の遺構。
大昔、多くの人々が行き交っていた痕跡が其処かしこに残っている。


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コンコースの脇には、取ってつけたような芝山鉄道の改札があった。
一応東京近郊なのに芝山鉄道はICカードに一切対応していない。

全線運賃は200円。古びた改札に切符を通し、ホームへ。


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やっぱり誰もいない、東成田のホームに降り立つ。無機質すぎて夢に出てきそう。
余計なものは全て取り外され、素っ裸になったプラットホームの姿だ。

よく見ると、この駅はホームが2つあることに気付く。



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アレは・・・!

線路を跨いだ先に見える、煤けた廃ホーム。
旧・成田空港駅の特急発着乗り場の成れの果てであった。
非常灯以外何も点いておらず、現行乗り場から見ると巨大な亡霊のように見えた。



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開業当初は「成田空港駅」と名乗っていた東成田駅は1978年に開業している。
共闘派との衝突を繰り返し、混迷の果てに開港した成田国際空港。
その唯一の連絡駅として京成が開業したのが全ての大元だ。

この駅は空港連絡駅であるにもかかわらず、空港ビルから少し離れた位置に建てられている。
当時はまだ、成田空港に新幹線が乗り入れる一大プロジェクト「成田新幹線計画」があったためだ。
しかし同計画は泥沼状態となり凍結し、残された用地を使って空港ビルへ直結する路線がJR・京成共同で敷設される。
この空港直結路線「成田空港高速鉄道」が開通したのは、1991年。空港開港から13年後のことであった。

成田空港高速鉄道開業と同時に京成本線の称号は新線に移り、旧・成田空港駅へ向かう旧線は支線扱いとなった。
駅の称号も新たな直結駅へ移され、旧・成田空港駅は東成田駅へ改称。空港連絡駅の役目を譲ったのだった。


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ややこしい話だが、東成田駅は1978年から1991年までの13年間「成田空港駅」として機能していたのだ。
この駅は計4つの乗り場があり、1・2番線は特急、3・4番線は普通列車用に使われていたという。
現在、京成・芝山鉄道用として稼動しているのは3・4番線として使われていた方だ。

1・2番線は四半世紀前のまま放置されていて、昔の駅名標も残っていた。


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鉄オタ的にはたまらない場所だが、怖い。一人だとめっちゃ怖いです(汗)

「………ゴォォォォォオオオオオ!!」

何処からともなく地鳴りが聞こえてきた。
気付けば巡回警備員と思われる人がホームにいて、定位置で待機している。
そういや何も放送流れずに電車来たんだけど……もしかしてこの駅放送が流れないのか!?



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一体、なんなんだここはーーーーー!(次回へ続く)

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2015/06/23 | 芝山/東成田攻略

芝山鉄道に乗る

「芝山/東成田攻略 2/2」

[2015/6/13]

芝山鉄道が何なのかは前回の記事で説明したが、正直ここまで異常だとは思わなかったぞ。
空港第2ビル駅から地下通路を抜け期待を胸に訪れた芝山鉄道の起点は、
四半世紀前に使命を終えた巨大廃ターミナルだった。

乗り場に自分と警備員しかいないという超展開の中、何の前触れもなく電車がやってくる。
やがて轟音が近づいてくると芝山千代田行きが姿を現した。



・芝山鉄道 [東成田~芝山千代田]
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芝山鉄道は京成線からの列車が乗り入れており、同線を往復するだけの列車は存在しない。
乗り入れる列車の全ては、成田方面からやってくる京成や都営の列車である。
ちなみに芝山鉄道は自社の車両を一編成だけ持っているが、何故か芝山鉄道には滅多に乗り入れないという。
自社車両が自社路線を走らないってどういうことだし!(編成上の問題らしいです)

行き先幕は何故か「(東成田) 芝山」となっていて、芝山鉄道の特異性をビンビンに感じる。
列車に乗り込むとものの見事にガラガラ。一両に一人いるかいないかの割合だ。
到着放送はなかったが発車ベルは鳴るらしい。電子音が鳴り響いた後、2.2km先の終点向けて走り始めた。


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東成田を出ると空港下の地下線をゴトゴト走っていく。端から見れば亡霊列車のようだ。
しばらくすると速度が下がり、地図では把握し難いが、急なS字カーブを曲がり始めた。
反対派の同意が得られず買収できなかった土地の隙間を、急カーブで切り抜けているのだ。

「………カンカンカンカンカン!」

びっくりしたのはS字カーブを抜けた後だ。地下なのに何故か踏切の音が聞こえてきたのである。
頭おかしくなったんじゃない。マジだ。恐らく検査の巡回員か何かに対するものだろう。
突っ込みどころ満載過ぎて何がなんやら。


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謎の踏切音が遠ざかっていくと、間もなく列車は地上へ出た。
線路のすぐ隣には成田空港があり、飛んでいく飛行機も見ることができる。

空港を拝みつつ高架を上がってきたところで、列車は終点の芝山千代田へ到着する。



・芝山千代田駅
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芝山千代田駅は空港東側の端に存在する。列車を降りると辺りは轟音の中。
飛行機のジェットエンジンが間近で聞こえてくる。
線路横を走る一般道は地下を潜って空港西側へ直結してるみたいなので、
どうやら芝山鉄道だけが孤立してるわけではないようだ。車の交通量も多い。


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この駅は芝山鉄道の"現時点終点"だ。
将来的には九十九里の方まで延伸する計画があるようで、高架の端はブツ切り状態になっている。

今にも敷設が続きそうな様子だが、今後延伸される可能性はほぼ無いと考えていいだろう。


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芝山町は遺跡・古墳の宝庫で、駅の至るとこで名物のはにわがフィーチャーされている。
記念撮影ボードもはにわでロータリーに飾ってあるオブジェもはにわだ。100%はにわ推し(笑)

駅前を探索してみるも、はにわ以外これといったものはないようだ。
この駅からは延伸区間の代替としてシャトルバスが出てるようで、
芝山鉄道と併用すれば成田空港から九十九里へ行くことも可能だ。


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「芝山鉄道 みんなの願いは 早期延伸」

地元町議会による物々しい看板もあった。
一体何の基準で「みんな」としてるのかはわからないが、現時点で延伸は絶望的だろう。
あと延伸したら「日本一短い鉄道」ではなくなるので日本一ブランドがなくなってしまうのが痛い。

芝山鉄道が開業するまで日本一の短さを名乗っていた紀州鉄道の全長が2.7kmなので、
少しでも延伸したら即刻ブランド剥奪である。




仮に芝山鉄道を看板の要望通りに延伸させたら、こんな感じになるだろうか……!
芝山千代田から芝山町中央を貫き、総武本線と接続する松尾を経て蓮沼・九十九里へ至る。
九十九里浜と蓮沼海浜公園を名物にして、上野・羽田から特急を走らせてみてはどうだろうか??

大赤字は間違いないけどね。


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ホーム北側からは、空港に停泊中の飛行機を間近に見ることができる。
開業当時は飛行機の見れる駅として注目を浴びたんだとか。

見るべきものは見てしまったので、キリのいいところで折り返しの列車に乗り込んだ。
ここであまりブラブラしてると不審者扱いされて捕まりそうである。
探索するのは自由だが常識ある行動を心がけたい。



・芝山鉄道 [芝山千代田~東成田]
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夕方の通勤時間帯だからか、復路の成田行きは意外と利用者が多い。
そのほとんどが空港・公安関係の仕事帰りの人だろう。
車内の雰囲気は鶴見線のそれと似た感じだ。

淡々とした業務放送が流れた後、列車は出発した。
左手に空港を拝めるが、すぐに地下へ潜り空港直下を突き進む。
起点から終点まで2.2kmにして3分。小さな道のりを経て隣駅の東成田へ到着する。


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東成田に戻ってきた。このまま直通の京成線に乗って帰ってもよかったが、
自分の場合、成田スカイアクセスで帰った方が早いので、
元来た道を戻り空港第二ビルへ向かうことにした。

………あの魔境地下通路をまた通らなければならないのだ。



・連絡通路 [東成田~空港第2ビル]
P6150156.jpg

異次元への入口。

またここ通んのかよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
女性客が間違って入り込んだら確実にトラウマになるだろう。とにかく雰囲気がヤバイ。

入口にさっそく監視カメラがあるが、通路内にあのカメラが数え切れない程あるのだ。
空港の圧倒的権威の元で一人無防備でさらされる切迫感が尋常じゃない。
ドMな方にはいいかもしれないがw


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ただ戻るのも面白くないので、僅かに残る昔の広告を物色してみる。
色褪せた写真の下に「東京駅地下ホームからL特急あやめで60分」と案内が書いてあった。
L特急は国鉄時代の普及型特急の称号だ。あやめは今年廃止されてしまったが……。
ここは何もかも時代から取り残されている。

あと間違ってもこんな辺鄙なところで彼女に会ってはいけない。
即刻別れを告げられ破綻を迎えるだろう(笑)



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生還!!

500mに及ぶ連絡通路を戻り、私は巨大廃ターミナルから"生還"した。
現世に戻ってきたかのような達成感。心底生き返った気分だ。

それほど、旧・成田空港駅はヤバい雰囲気を放っていた。



・空港第2ビル駅
P6150163 (2)

こちらは現行の成田空港、空港第2ビル駅のコンコース。
さっきの"異世界廃墟ワールド"は一体何だったんだと、人混みに紛れながら私は思った。

空港第2ビルに戻った後はスカイアクセスに乗り、さっさと帰路へ着く。



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・旅の総費用:運賃400円
・乗った乗物の数:鈍行2本
・総距離/所要時間:5.4km/1時間強



人を選ぶが、鉄道好きなら東成田は一度訪れる価値がある物件だと思う。
芝山鉄道は京成成田から直通の列車でそのまま行くこともできるが、
個人的には敢えて空港第2ビルから連絡通路を使うルートで辿るのをオススメしたい。
このルートで行く場合、万が一のときのために身分証明書を持参した方がいいだろう。

さらされる恐怖と緊張感の元で、未知なる場所へと向かうような"圧倒的異空間"
長い連絡通路を抜けた先には、昭和のまま取り残された巨大廃ターミナルと"日本一短い鉄道"が待ち構えている。
(完結)
2015/06/28 | 芝山/東成田攻略


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